李白 「金華牧羊兒」

ひつじ話

金 華 牧 羊 兒。  金華牧羊の兒、
乃 是 紫 煙 客。  乃ち是れ紫煙の客。
我 願 従 之 遊。  我、之に従つて遊ばむことを願へども、
未 去 髪 已 白。  未だ去らざるに、髪、すでに白し。
不 知 繁 華 子。  知らず、繁華の子、
擾 擾 何 所 迫。  擾擾として、何の迫るところぞ。
崑 山 採 瓊 樹。  崑山に瓊樹を採らば、
可 以 錬 精 魄。  以て精魄を錬るべし。

李白の「金華牧羊兒」です。
金華山中で羊を牧しながら、神仙となった黄初平への憧れが主題となっています。
黄初平に憧れているうちに白髪頭になってしまった、世上はなぜこうも忙しないのか、崑崙山に行けば仙人になれるのに、といった内容。
李白の詩は、「蘇武」を、
黄初平については、小川芋銭島田元旦円山応挙などの絵をご紹介しています。

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ホアン・バウティスタ・マイーノ 「羊飼いの礼拝」

ひつじ話

「羊飼いの礼拝」 「羊飼いの礼拝」(部分)

17世紀スペインのホアン・バウティスタ・マイーノによる「羊飼いの礼拝」です。プラド美術館蔵。

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ヒエロニムス・ボス 「東方三博士の礼拝」

ひつじ話

「東方三博士の礼拝」 「東方三博士の礼拝」(部分)

ヒエロニムス・ボスの三連祭壇画です。聖母子の足下に、イサクの犠牲をかたどったとおぼしき品が。
ボスについては、「荒野の洗礼者ヨハネ」を、
「イサクの犠牲」テーマ関連では、シャガールの「イサクの犠牲」などをご紹介しています。

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亡羊補牢

ひつじ話

襄王曰く、寡人、先生の言を用ふること能はずして、今、事此に至れり。
之を為すこといかんせん、と。
荘辛對(こた)へて曰く、臣聞く、鄙語に曰く、兔を見て犬を顧みるも、未だ晩(おそ)しと為さず。
羊を亡うて牢を補ふも、未だ遅しと為さず、と。
通釈
襄王は言った、「わたしは、先生のおことばを用いることができなかったばかりに、いま、このような体たらくに立ち至りました。どうしたものだろう」と。
荘辛がお答えして言うには、「臣の聞くところでは、世間の諺に、『兎を見つけてから犬を探しても、まだ遅くはない、羊を取り逃がしてから囲いを修理しても、まだ遅くはない』と申します。

問題が起きてから対策をたてる様を表す故事成語、「亡羊補牢」の由来です。戦国策・楚策から。
の襄王は放蕩奢侈を諫める荘辛を退けます。その後、秦の攻勢のために楚は危うくなり、後悔した襄王は荘辛を呼び戻します。その時の、忠臣の発した言葉が、この「羊を亡うて牢を補う」。
まだ間に合う、なにもしないよりは良い、という意味が含まれていて、単なる「あとのまつり」ではないところがポイントでしょうか。
故事成語は、この他に、肉袒牽羊多岐亡羊以羊易牛、以羊易牛関連で曲亭馬琴「烹雑の記」などをご紹介しています。

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ネフェルタリ王妃墓の壁画

ひつじ話

ネフェルタリ王妃墓壁画
神のバーと二女神
人間にバーがあるように神もバーを持つと考えられた。
イシス(右)とネフティス(左)が守護しているのは、太陽神ラーのバーである。
テーベの主神アメン・ラーは牡羊の姿で表わされる事があるが、この図は、牡羊がバーと発音されたことと関係があるかもしれない。

古代エジプトのネフェルタリ王妃墓の壁画から。
バーというのは、いわゆる「魂」のこと。角に乗ってる丸いものは太陽ですね。
アメン神関連では、象嵌用牡羊頭部ヘロドトスの「歴史」などをご紹介しています。

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いもとようこ 「ノアのはこぶね」

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「ノアのはこぶね」
あるひ かみさまは ノアに いわれました。
「ノアよ わたしは おおみずを おこして すべてを ほろぼしてしまう つもりだ。
おまえは いそいで おおきな はこぶねを つくりなさい。
そして その なかに おまえの かぞくと この ちじょうに すんでいる
すべての いきものを ひとつがいずつ のせなさい。」

いもとようこの絵本です。見どころは絵。はり絵の柔らかな風合いが、動物たちの愛らしさを際立たせています。

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ヴォルテール 「バビロンの王女」

ひつじ話

「では私の恋しいあの不思議な方の国というのはどこにありますの?
あの勇ましい方の名は何といいますの?
あの方の持っていらっしゃる国は何というところですの?
だってあの方が羊飼だなんて信じられませんもの、あなたが蝙蝠だと信じられないのと同じに。」
「(略)
あの人は自分の国の人々をあまり深く愛しています。
その人々と同じくあの人も羊飼なのです。
しかし羊飼というのがあなたの国の羊飼に似ているとお想いになってはいけません。
あなた方のはボロボロの破れ着物を引っかけて自分たちより遙かに上等な着物を持っている羊たちの番をして、貧乏の重荷を背負って呻き声を出し、主人から受取るあわれな賃金の半分を税絞りの男に払うのですから。
ガンガリードの羊飼たちは、みな生れつき平等で、いつも花の咲いている牧場を蔽うている無数の羊の主人なのです。
羊を殺すことは決してありません。

ヴォルテールの「バビロンの王女」より。
千夜一夜ふうの体裁をとった、同時代に対する風刺小説。上は、羊飼いを名乗る美青年の求愛を受けたバビロンの王女が、青年の友人である霊禽フェニクスに、その正体について尋ねる場面です。

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ジュール・ルナール 「にんじん」

ひつじ話

にんじんは、最初、もやもやした丸いものが、飛んだり跳ねたりしているのしかわからなかった。
それが、けたたましい、どれがどれやらわからない声を立てる。
学校の子供が、雨天体操場で遊んでいる時のようだ。
そのうちの一つが彼の脚の間へ飛び込む。ちょいと気味が悪い。
もう一つが、天窓の明りの中を躍り上がった。仔羊だ。
にんじんは、怖かったのがおかしく、微笑む。
目がだんだん暗闇に慣れると、細かな部分がはっきりしてくる。

「博物誌」をご紹介している、ジュール・ルナールの「にんじん」から、「羊」の章を。

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「クリスマスって なあに」

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「クリスマスって なあに」
ひつじかいたちは、たちあがると ひつじたちをつれて あるきだしました。
ほしが、ひつじかいと ひつじの むれを みちびいて いきます。
ベツレヘムへ。
ベツレヘムへ。

すこし(すごく?)気が早いですが、クリスマス絵本です。
ディック・ブルーナ「クリスマスって なあに」。こちらを見ながら歩くひつじたちが。

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「牧師さんの羊を盗んだ男」

ひつじ話

まい年クリスマスになると、よく肥えた羊を盗むことにしている男がいた。
ある年のクリスマス、男は牧師さんの羊を盗み、十二、三歳になるその男の息子は村じゅう歌ってまわった―
うちの父ちゃん、牧師さんの羊を盗った
おかげてうちじゃ楽しいクリスマス
プディングだって肉だって食べほうだい
でもこいつはないしょ、ひみつの話
ところがある日、牧師さん本人がこの歌を聞いてしまった。
「坊や、なかなか歌がうまいね。この次の日曜の夜、教会へ来て、今のを歌ってくれないかね?」

「イギリス民話集」の「こっけいな話」の章から。偽善者の牧師さんがひどいめにあうお話です。この坊やが教会で歌った歌は、もちろん羊を盗んだ歌ではなくて……。

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ピーテル・ブリューゲル 「子どもの遊戯」

ひつじ話

「子どもの遊戯」 「子どもの遊戯」(部分)
お手玉遊び Bikkelen
このお手玉は解剖学的にみると、羊(子牛や豚でもよい)の足根骨として分類される七つの骨の一つ、距骨である。
骨は脂肪分を抜くためソーダで煮たり、ときには玉ねぎの皮で着色することもあった。

ピーテル・ブリューゲルの「子どもの遊戯」を丹念に検証した「ブリューゲルの「子供の遊戯」―遊びの図像学」から、画面左下すみの「お手玉遊び」について。
羊などの足の骨を使ったお手玉の歴史が、古代トラキアトロイア戦争のエピソード、ローマ軍の遠征による伝播、ポンペイの壁画等々を例に詳細に語られています。
同著者による「ブリューゲルの諺の世界」も、あわせてぜひ。

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読書空間 ひつじ日和

地名・団体

浜松市にできたばかりのカフェ兼本屋さん、「読書空間 ひつじ日和」に行って参りました。

・店内にある本を、自由に読んでください。
  椅子に座ってじっくり読んでもらうのもOKです。
・のどが乾いたら飲み物の注文を。
  コーヒー、紅茶、シェークなどの飲み物を揃えています。
  飲みながら本を堪能ください。
・お腹が空いたら食べ物を。
  ワッフルがメインです。ひつじっぽくないですか?
・店内にある本、絵本、雑貨は購入可能です。
  一部非売品もあります。ごめんなさい。
・ご自分で持ってきた本を読むスペースとしてもご利用ください。
・お酒もあります。
・残念ながら喫煙だけはご遠慮ください。

こんな感じのお店です。
浜松駅前のメインストリートは広くてこざっぱりしていて、歩いてて気分の良い街でした。
せっかくなので30分ほど散歩して、ついた入口は、ひっそりとした民家風。
「ひつじ日和」入口
じつは、ちょっと見逃して行きすぎてしまうところでした。行かれるかたは要注意。
ひつじ似と噂のワッフルプレートを注文。目の前に、ひつじ度高めの本棚が。
ワッフル二個セット
飲食(兼読書)スペースからカウンターを振り返ると、ロフトからあやしいものに見下ろされてました。……行かれるかたは、要チェック?
振り返ると……

営業時間 11:00〜23:00
定休日 火曜日
バス
○浜松市循環まちバス く・る・る
 東ループ 中央図書館 徒歩3分
      紺屋町   徒歩2分
○遠鉄バス  紺屋町  徒歩2分
       元城町  徒歩3分
駐車場はありません。
近くに民営の駐車場があります。

すぐ近くに浜松城がありますので、観光を兼ねて行くのも良いかもしれません。ぜひー。

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『変身物語』より 「ガラテイアとアキス ポリュペモス」

ひつじ話

『あんたの額の真ん中の一つ目は、オデュッセウスにつぶされるだろう』
ポリュペモスは、からからと笑っていいます。
『このうえなく愚かな予言者よ、きさまのいうことは間違っている。
この目はとっくにつぶれているのだ―さる女の美しさを拝んでな』
(略)
荒くれた一つ目の巨人はこの丘に登って、ど真ん中に腰をおろしました。
毛の長い羊たちも、誰に追われるともなく、あとへついて来ています。
(略)
『ガラテイアよ、お前は雪のようなもくせいよりもなお白く、牧場よりも華やかだ。
(略)
ここにいる羊は、すべてがわたしのものだ。
ほかにも、谷間をうろついているのがたくさんいる。
森陰にひそんでいるのも多いし、洞穴のなかに囲われているのも多い。
ひょっとしてたずねられても、いったい何頭がいるのかを答えることは、わたしにもできないだろう。

オウィディウス「変身物語」から、一つ目の巨人の悲恋と、彼の横恋慕のために破滅した恋人たちのエピソードを。
巨人ポリュペモスは羊飼いで、美女ガラテイアに対する求愛の台詞によれば、多くの羊を所有しているようです。
この羊たちが、後々、オデュッセウスを助けることになるわけですが、それはまた別のお話。
「変身物語」関係では、他に、「イアソンとメデア」の金毛の羊や、ブリューゲルの「イカロスの墜落のある風景」などをご紹介しています。

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トルコの民話 「毛皮娘」

ひつじ話

王女は、子羊の皮をもらって、それをかぶりました。
王女は、地面を這いながら、城からはなれていきました。
途中で、いくつもの森を通りました。
森には、おおかみや野獣がいて、なん度も、あぶないめにあいました。
そんなふうに、長いこと歩いていくと、やっと、ある町に着きました。
(略)
毛皮娘は、お城の中に、だれも残っていないのがわかると、羊の皮を脱いで、黄色い服を着て、パーティがおこなわれている庭へ行きました。
娘は、庭のすみに隠れて、すわりました。
けれども、娘はとても美しかったので、若い王子の目を引きつけました。

 「シルクロードの民話 アラビア・トルコ」 

アラビア・トルコの民話集から。
父王の求婚から逃れるために羊に化けた王女の顛末。「千匹皮」とか「鉢かづき」とか、お姫様が妙なものに身をやつすお話は世界中にあるようですが、この王女の行動力はイランの亡命者並みにお姫様離れしています。

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