アレクサンダー大王と「おしゃべりの樹」(15世紀ごろの『シャー・ナーメ』写本ミニアチュア)。
ロジャー・クック『生命の樹―中心のシンボリズム』による。
紀元前四世紀のマケドニア国王アレクサンダー大王のアジア遠征は、まずペルシア帝国への侵攻からはじまりましたが、征服されたペルシアでは、ヨーロッパ各地に発生したアレクサンダー伝説と軌を一にして、かれを英雄としてたたえるイスカンダル(アレクサンダーのペルシア名)伝説が生まれました。
そんな伝説のひとつを物語っていると思われる細密画(ミニアチュア)があります。
イスカンダルが一本の樹を見あげているのですが、なんと! その樹は、おかっぱ頭(?)の人間やら、馬やら駱駝やら豹やら羊やら龍やら……の頭部を枝の先端にくっつけているではありませんか。
このあたまたちは、イスカンダルの野望を戒め、異国の地におけるかれの死を予言しているとのことで、この樹は、「おしゃべりの樹」と名づけられているそうです。
円明園十二生肖獣首銅像関係で二冊をご紹介している中野美代子の著書をさらに一冊。
動物の成る樹というと、やはり植物羊を思い出すのですが、どこかで両者がつながってたりするのでしょうか。