ジャーミー『ハムサ』挿画「小羊をかつぐモーゼ」

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「小羊をかつぐモーゼ」 「小羊をかつぐモーゼ」(部分)
ジャーミーの『ハムサ』。イスラム暦979年第3月(西暦1571年7月)の日付入り。サファヴィー朝時代。
群れから離れた小羊をかつぐ預言者モーゼ。

 「トプカプ宮殿博物館」 

トプカプ宮殿所蔵のイスラム絵画を。
15世紀の詩人ジャーミーによって書かれた「ハムサ」の挿画です。初期キリスト教美術でおなじみの、善き羊飼いの姿をしたモーゼが。

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ゲーテ 「ライネケ狐」

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 かくのごとく償いは決定をみ、
かの雄羊は、その首でこれを果すこととなり、
雄羊の縁者は、いまも残らずイーゼグリムの屈強なる一統
   の虐待をうけ、
かくて永遠の憎悪が始まったという次第。いまや狼どもは
  何の憚るところもなく、
仔羊と親羊をどこまでも狂暴に襲っては、
権利があると信じてわがもの顔。

以前ご紹介した中世ヨーロッパの動物叙事詩「きつね物語」ゲーテによる改作「ライネケ狐」から、前回お話したのと同じ場面を。
ゲーテはなんどか話題にしておりますので、こちらで。

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「キリンと暮らす クジラと眠る」

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「キリンと暮らす クジラと眠る」表紙
じゃあ、どうすればいいんだい、ヒツジさんは?
牙がありゃあ、かみつくこともできよう。
爪がありゃあ、ひっかくこともできよう。
爆弾を持っていりゃあ、落とすこともできよう。
でも、ありゃあしないんだもの、そんなもの!
あるのはただ、ウール、ウール、ウールだけ。

アクセル・ハッケの‘情緒あふれる博物学’(本文から)、「キリンと暮らす クジラと眠る」の一章、「ヒツジ ウール革命を待ちわびて」を。
いつかもっと科学がすすんで、ヒツジ無しでも羊毛が作れるようになったなら、何千年もにわたる任務から解放されたヒツジたちはどうするだろう? という、幸福な夢想。ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵がまた良いのですよ。

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フランソワ・ブーシェ 「バグパイプを吹く羊飼いの少年」

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「バグパイプを吹く羊飼いの少年」
この作品の完成後、この情景はさまざまなものに再現された。
有名な王立のゴブラン織工場では、「ブーシェの子どもたち」として知られている小型のタペストリーのシリーズが制作され、椅子の背や、かぎ煙草入れの蓋の装飾にもこの絵が使われた。

 「ボストン美術館の巨匠たち 愛しきひとびと展」カタログ 

フランソワ・ブーシェです。これまでにご紹介しているブーシェは、こちらで。

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フレデリック・レイトン 「お手玉遊び」

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「お手玉遊び」 「お手玉遊び」(部分)
これは、レイトンが1867年ロイヤル・アカデミーに出品した5点の古典的構図をもった作品の1点で、古代ギリシアの小像にしばしば表現されている主題、すなわち牛や羊の趾骨を用いる古代のお手玉遊びに興ずる五人のギリシアの少女たちが描かれている。

 「ラファエル前派とその時代展」カタログ 

先日ご紹介した「ナックルボーンの勝負を巡って争う二人の少年の像」に続いて、羊の距骨の遊具が描かれたものを。19世紀イギリス、フレデリック・レイトンの「お手玉遊び」です。
同時代のラファエル前派の絵画をこれまでにいくつかご紹介しておりますので、こちらで。

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シャルル=エミール・ジャック 「森の中の羊飼いと羊の群れ」

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「森の中の羊飼いと羊の群れ」

シャルル=エミール・ジャックです。
前回「夕暮れ」をご紹介したおりに、「羊飼いの女と羊の群」が混同するほど似ているとぼやいたものですが、上には上がありました。北海道立帯広美術館蔵。
話は変わりますが。
ディスカバリーチャンネルのシリーズ「突撃!大人の職業体験」にて、明日の夜(3月21日(月) 23:00?00:00 )、「羊飼いの手伝い」が放映される旨、K&T様からお知らせいただきました。ありがとうございます。
で、その、お話によりますと、去勢の場面などがすごいことになってるそうなので、見るときは覚悟が必要かもしれません。

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右玉出土 銅温酒樽

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温酒樽 温酒樽(部分)
山西省右玉(ゆうぎょく)県大川村(だいせんそん)で発見された青銅製の円筒形容器で、酒を温める樽であると言われています。
前漢成帝の河平三(紀元前二六)年の紀年銘文があって、製造の時期が明確であることが貴重です。
酒樽の側面にはさまざまな動物たちが画面に向かって左方向へ漫歩する場面が表現されています。

キトラ古墳壁画の解説書から。十二支像の古代中国におけるイメージを論ずるにあたって、前漢の青銅器が例示されていましたので、ご紹介を。

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ナックルボーンの勝負を巡って争う二人の少年の像

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少年の像 少年の像(部分)
大理石
後1世紀(前2世紀に制作されたオリジナルに基づくヴァリアント)
ローマ出土
高さ70? 幅90? 奥行58?

 「大英博物館 古代ギリシャ展 究極の身体、完全なる美」カタログ 

アストラガロスで遊ぶ人たち(こちらの展覧会では、「ナックルボーンで遊ぶ二人の少女の像」とのタイトルが付いていました)が展示されていると知って、神戸市立博物館で2011年6月12日(日)まで開催されている「大英博物館 古代ギリシャ展」に行って参りました。目的の少女たちももちろん堪能しましたが、もうひとつ、同じ遊びに興じていながらケンカになってしまったとおぼしき少年の像がありましたので、そちらを。いったいどんな理由でこんなことに。女の子たちはこんなになごやかなのに。
こちらの展覧会は、神戸のあと、7月5日(火)から9月25日(日)まで東京の国立西洋美術館に巡回するようです。
ところで、ナックルボーン(またはアストラガロス、羊の距骨)ですが、昔、大阪の国立民族学博物館のミュージアムショップで買ったモンゴルの遊具シャガイが、おそらく同じ物ですので、下に写真を添えておきます。ご参考にぜひ。
シャガイ

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大英博物館所蔵 双羊尊

ひつじ話

双羊尊
双羊尊
高43.2 口径17.0
商時代(紀元前13?11世紀)
二頭の羊が背中合わせになった形の尊。
羊の躰は鱗状の文様で覆われ、足の上部には二本の小さな角をもつ龍が、身をくねらしている。
(略)
二頭の羊から成るこの形は珍しいが、根津美術館に一点類似品が知られている。

 「大英博物館所蔵 日本・中国美術名品展」カタログ 

殷代の酒器です。
古代中国の青銅器は、これまでにもいくつかご紹介しておりますので、こちらでぜひ。
根津美術館の双羊尊は、いつか見に行かなければならないとかねがね思っているのですが。

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カウナケス姿の女性坐像

ひつじ話

女性坐像
前2600年?前2350年頃
マリ(テル・ハリーリー)イシュタール神殿址出土
アラバスター/高さ:34.4? 玉座:14.0×10.2×13.5?
ダマスカス博物館
マリのイシュタール神殿より出土した女性石像であるが、彫刻のほどこされた玉座と思われる椅子に腰掛けている。
頭にはいわゆるポロス形の頭飾りを被り、その上から肩にかけて長いショールをまとっている。
このショールと下半身にまとったローブはたくさんの房飾りのついたカウナケスと呼ばれる素材でつくられている。

 「古代シリア文明展」カタログ 

ルーヴル美術館のエビフ・イルの像をご紹介したことのある、羊似の衣装カウナケスを着た人物の像をもうひとつ。

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羊一頭食べつくす大宴会

ひつじ食

「羊一頭食べつくす大宴会」
「羊1頭、丸ごと食べつくす大宴会!!4時間飲み放題付き。最低人数40名から承ります。」
その情報を見た翌日、私はお店に電話をかけていました。

カーター卿さんから、デイリーポータルZの特集記事に羊ネタが、とのお知らせをいただきました。
これは! これは、ひつじnewsの永遠の憧れ、羊丸ごと一頭使った宴会の報告記事ではないですか。ああ、心の底からうらやましい。
お店の公式HPを、下に。

羊1頭、丸ごと食べつくす大宴会!!
お一人様 5000円 4時間飲み放題付き。 ※最低人数40名から承ります。
お客様が集合した後、みなさんの前でさばき
そして、焼いたり、煮込んだり、いためたり、蒸したりと調理をします。
お客さま解体作業にご興味のある方は、調理に興味のある方、参加できます(笑)

HPの「メニュー」を拝見すると、少人数で楽しめるモンゴル料理も充実しているようですので、そのうち東京に行ったおりにでも寄ってこようと思います。いやむしろ、これを主目的にでも。

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「デデ・コルクトの書」第八話

ひつじ話

串が焼けると、バサトは手に取った。
その名も麗しきムハンマドに讃辞を送ると、串をデペギョズの目に当てた―デペギョズの目が潰れた。喚き声をあげ、山や岩が谺するほど叫んだ。
バサトは飛び跳ねた。羊の間に紛れ込み、洞穴に入った。
デペギョズはバサトが洞穴にいると分かったので、洞穴の入り口に陣取り、片足を入り口の端に、もう片足をもう一方の端に置いた。
彼が言うには、「おい、羊の頭(かしら)、牡山羊よ。一頭一頭来て通るがよい」と。
一頭一頭やって来て通った。彼はすべての頭を撫でた。
「一歳羊たちよ、我が幸運よ、額に白い斑のある牡羊よ。来て通るがよい」と言った。
一頭の牡羊がその場から跳ね上がり、伸びをした。すぐさまバサトは牡羊に飛びかかって喉を切るとその皮を剥いだ。
尾と頭は皮につけたままにしておいて、その中に入った。

15世紀ごろにアナトリアで編纂されたと推定される英雄叙事詩「デデ・コルクトの書」から、第八話「バサトがデペギョズを殺した物語を語る」を。英雄が、一つ目にして人食いの怪物を退治するお話ですが、「オデュッセイア」ですよね、これ。
巻末の解説によると、他に「千夜一夜物語」にも類似点を持つお話があるそうなので、いずれ探して参ります。

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「エル・ジャポン」四月号表紙

ひつじ画像・映像

「エル・ジャポン」四月号表紙

こえち様から、発売中の「エル・ジャポン」の表紙に子羊を抱いたペネロペ・クルスが、とのお知らせをいただきました。ありがとうございます。
ペネロペ・クルスというと、恥ずかしながら「ボルベール」の鮮烈なイメージしかないのですが、現在はママさんになったところなのですね。だから子羊?と思いきや、雑誌を買ってきて記事を見てみたところ、2005年のポートレートなのだとか。
来月発売の写真集、マイケル・トンプソン「PORTRAITS」におさめられた一枚とのこと。

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ルーマニアとフィンランドの切手

ひつじグッズ

ぷっか様から、羊図柄の切手の情報をいただきました。ありがとうございます!

当店は、切手、使用済み切手、郵便グッズなどのコレクターアイテムを、店主自らが外国及び郵政から仕入(o^・^o)厳選した珍しいグッズの為限定品が多くマニアの方々やお客様にも厚い信頼をいただいております。

こちらのお店で購入された「世界のおとぎ話と子供たち 切手セット」に入っていたモンゴルの切手が羊だったとのこと、お知らせいただいたのですが、

モンゴル羊切手

ぷっか様から 

どのお国のどの柄がセットになるかはランダムなのだそうで、ぐるぐると悩んだすえ、確実に羊が入っていそうな、「ルーマニア1962年 動物」セットと、「フィンランド 2008年動物天気予報切手帳」を買ってしまいました。
こちらです。
羊切手
アップでもう一枚。
羊切手アップ
良いですね。色味と色数を抑えたかっこいいのがルーマニアの動物切手、縦につづられたカラフルなのがフィンランドの切手帳です。
ところで、切手購入にあたっての入門書のつもりで、図柄の美しい切手がぎっしり載せられた「切手帖とピンセット 1960年代グラフィック切手蒐集の愉しみ」を読んでいましたら、こちらのルーマニアの羊切手が紹介されていました。「ウォーホル風!?」とのコメント付き。おお、たしかに。

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