トロワイヨン 「小さな群れ」

ひつじ話

「小さな群れ」
1840年以降はフォンテーヌブローの森でバルビゾンの画家グループと頻繁に合流した。
そこでトロワイヨンはバルビゾンの農場で選んだ動物をモティーフに描くようになり、動物画というジャンルの直接的で総合的な写実主義に心を奪われるようになった。
1847年にオランダに旅行したことは重要な意味をもち、その際に17世紀オランダの画家の動物画、とりわけカイプとポッテルの作品に開眼したことで、トロワイヨンの動物への傾倒はさらに強まった。

「ルーヴル美術館展 19世紀フランス絵画─新古典主義からロマン主義へ」

19世紀フランス、コンスタン・トロワイヨンの「小さな群れ」を。
影響を受けたオランダの動物画家のうち、カイプについては「平原の眺め」を、ポッテルは「休息する家畜の群れ」「若い牡牛」をご紹介しています。
また、トロワイヨンがその主要な一人とされるバルビゾン派については、まとめてこちらで。

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「ビッグイシュー日本」192号

ひつじグッズ

もりもとさんから、ホームレス支援雑誌「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーに「ひつじのショーン」が特集されているものがあるとのこと、お知らせいただきました。ありがとうございます。
「ビッグイシュー」、大きい駅のそばなどで路上販売されてる雑誌ですよね。見たことありますあります。
というわけで、近くの駅まで出向いて入手して参りました。
「ビッグイシュー」192号

「ビッグイシュー日本版」公式HP 内 バックナンバー一覧 及び 販売場所

ショーンが表紙になっているのは、192号。まだ新しい号だからか、比較的簡単に手に入るようです。ご縁があれば、ぜひ一冊。
なお、これまでにご紹介している「ひつじのショーン」関連記事は、こちらで。

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ハーバート・ドレイパー 「金の羊毛」

ひつじ話

「金の羊毛」 「金の羊毛」(部分)
この絵は1904年のロイヤル・アカデミーに出品されたもので、「タイムズ」紙に「ひときわ高い人気を博した作品群」と書かれたものの1点である。
(略)
彼らはイアソンの仲間、アルゴー船の勇士たちと共に、ギリシアへ帰る旅に出た。
しかしながら、王は彼らを追いかけてきた。
そこでメディアは、自分の弟アブシュルトスを海に投げ込むよう指図した。
そこでアイエテスは彼を救わんとして仕方なく追跡をやめ、おかげでイアソンは逃げおおせたのだった。
ドレイパーが描いているのはこの場面である。

「バーン=ジョーンズと後期ラファエル前派展」カタログ

19世紀末?20世紀初頭イギリス、ハーバート・ジェイムズ・ドレイパーの「金の羊毛」です。
金羊毛の神話についてはこちら、関連記事はこちらで。
また、同時代のラファエル前派についてもいくらかご紹介しておりますので、こちらで。

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ロシア民話 「姉アリョーヌシカと弟イワーヌシカ」

ひつじ話

アリョーヌシカがイワーヌシカの名を呼ぶと、イワーヌシカのかわりに白い子羊が姉のあとから駆けてきた。
アリョーヌシカはわけを察してさめざめと涙を流し、干草の山のかげにすわって泣いていたが、子羊はそのわきの草の上を跳ねまわっていた。
ちょうどそこへ一人の貴族が馬車で通りかかり、馬を止めてたずねた。
「美しい娘さん、どうして泣いているのかね」
アリョーヌシカがわが身の不幸を話して聞かせると、貴族は言った。
「わたしについてきなさい。おまえに美しい衣装を着せて銀のかざりもつけてあげよう。子羊もけっして見捨てはしないから。おまえが行くところどこへでも連れていくがいい」

アレクサンドル・アファナーシェフのロシア民話集から、「姉アリョーヌシカと弟イワーヌシカ」を。
子羊の姿に変えられた弟を連れて貴族の奥方になった姉は、彼女に化けた魔女によって水に沈められてしまいます。残された弟の子羊も魔女に食べられそうになるのですが……?
アファナーシェフの民話は、これまでにいくつかご紹介しています。こちらでぜひ。

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ケン・フォレット 「大聖堂」

ひつじ話

「わたしたちは、なにか仕事をしなければならないの。仕事をして食い扶持をかぜぎ、お金をかせぎ、あなたにふさわしいりっぱな馬を買わなければならないのよ」
「ということは、ぼくに職人の徒弟になれっていうの?」
アリエナはかぶりを振る。「あなたは騎士になるのよ、大工じゃないわ。わたしたち、手にこれといった職もないのに、人に使われず暮らしを立てている人に会わなかったかしら?」
「会ったよ」と、リチャードがだしぬけにいった。「ウィンチェスターのメグだ」
そのとおりである。メグは徒弟奉公をしたわけではないのに、りっぱに羊毛商を営んでいる。だが、メグは市場に出し店をもっているのだ。
ちょうど、さっき道を教えてくれた赤毛の農夫の家のまえを通りかかった。
すでに毛を刈られた四頭の羊が、草地の草を食んでいる。
農夫は刈った四頭分の羊毛を、葦の縄でくくっているところである。
通りかかった姉弟に気づくと、手をふってみせた。
彼のような人びとが、羊毛を町にはこんでゆき、羊毛商人に売るのである。
商人は当然、その商いのための店を構えていなければならないが……
当然、だろうか?
アリエナの頭に閃くものがあった。

十二世紀のイングランドを舞台にした、ケン・フォレットの大河小説「大聖堂」より。
ヒロインのひとりである没落貴族アリエナが、のちに羊毛商人として大成するにいたる、その転機となる場面です。

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プトレマイオスの天文学著作集

ひつじ話

プトレマイオス プトレマイオス(部分)
コンスタンティノープル、813─820年
羊皮紙、95葉
28×20センチ
ヴァチカン図書館
(略)
この写本は、2世紀中頃アレクサンドリアで活躍した、ギリシャの天文学者、地理学者クラウデオス・プトレマイオスの天文学書を編集した、250年頃の写本に基づいて制作されたのである。

「ヴァチカン美術館特別展 古代ギリシャからルネッサンス、バロックまで」

9世紀の写本の挿絵です。中央の太陽神を、時間と12ヶ月の擬人像、さらに黄道十二宮が取り巻いています。
これまでにご紹介している十二宮関係の記事は、こちらで。

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カーレン・ブリクセン 「指輪」

ひつじ話

美しい七月の朝だった。
空には軽いひつじ雲が漂い、大気は甘い香りに満ちている。
リーセは白いモスリン・ドレスとイタリア製の大きな麦藁帽という装い。
夫妻は庭を曲がりくねっているロマンチックな小道をたどった。
それは野道になって、牧場を越え、高い木立ちを抜け、小川を越え、小さな森の脇を通って羊囲いまで続いている。
シギスムンは今日、リーセに羊を見せることになっていた。
だから彼女も、今回にかぎって白い小型犬のビジュを家に置いてきた。
子羊に吠えついたり、牧羊犬と喧嘩になるといけないから。
荘園の羊は特にシギスムンの自慢の種だった。
彼はメクレンブルクとイングランドで羊の飼育を学んだことがあり、自分のデンマーク種の羊を品種改良するため、コッツウォルド種やドイツ種の雄羊を持ち帰っていた。
その計画には大きな可能性と幾多の困難が待ち受けていることを、道々妻に説いて聞かせた。
妻は思った。「何て賢いこと! いろんなことを知っているわ!」それと同時に考えた。
「羊といると、小僧っ子じゃないの! 赤ちゃんよ! わたしのほうが百歳年上だわ」

カーレン・ブリクセンの短篇集『運命綺譚』より、「指輪」の冒頭部です。幸福な新妻と、羊泥棒によって象徴されるこの世の罪業や悲哀との邂逅。

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ペルセポリスの羊頭の装飾品

ひつじ話

装飾品
宮廷に使えた職人たちは美しい装飾品を作り出した。
羊の頭をかたどった装飾品は、職杖などに使われたと思われる。

 「ナショナルジオグラフィック日本版2008年8月号」 

イランのペルセポリス出土の装飾品です。

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オデュッセウスの描かれたクラテル

ひつじ話

牡羊の腹にしがみつくオデュッセウス
サッフォーの画家、クラーテル、BC500年頃
牡羊と共に食人鬼から逃れるオデュッセウス神話にも、犠牲と死との邂逅およびそれからの脱出が凝縮された形で見られる。
古層の伝承では逃亡は犠牲にされた牡羊の皮に潜り込んでなされたのだった。

ヴァルター・ブルケルトの「ホモ・ネカーンス」に、オデュッセウス神話の考察にからんで、オデュッセウスがキュクロープスから逃れる場面が描かれたクラテルの写真が添えられていました。
羊の描かれたクラテルは、少しだけご紹介したことがあります。こちらでぜひ。

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新入生はヒツジ

ひつじ事件

フランス西部サンナゼール(Saint-Nazaire)のジュール・シモン(Jules Simon)小学校で7日、同校に通う生徒たちと保護者らが、黒ヒツジの「バンサン・P(Vincent P.)」を「287人目」の生徒として「登録」した。
ジュール・シモン小学校では、生徒数が1人足りないとして地元教育当局が12学級のうち1学級を閉鎖。
これに抗議した保護者らが学校の占拠を続けている。
仏ウェサン(Ouessant)島生まれの小型黒毛羊のバンサン・Pの名は、バンサン・ペイヨン(Vincent Peillon)仏国民教育相から名付けられたという。

フランスで、ヒツジ関係の騒動が起きているようです。もう少し詳細が知りたいところですね。なぜヒツジなのかとか。続報があると良いのですが。

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カプセルラ・アフリカーナ

ひつじ話

カプセルラ・アフリカーナ
5世紀末─6世紀初頭

縦16.3センチ/横7.5センチ/高10.7センチ
ヴァチカン図書館(宗教美術館)
(略)
打ち出し技法および彫銀技法による、この聖遺物匣は1884年に、アルジェリアの初期キリスト教時代の教会堂遺跡で発見されたために、「アフリカの小匣」と呼ばれているのである。
その制作地については、北アフリカ説と北イタリア説が提唱されている。

「ヴァチカン美術館特別展 古代ギリシャからルネッサンス、バロックまで」

初期キリスト教の銀器です。側面に、十字架を背負った神の子羊が。
「神の子羊」モチーフ関係の記事はこちらで、初期キリスト教美術関連はこちらでぜひ。

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アルベルト・カイプ 「平原の眺め」

ひつじ話

「平原の眺め」

「ダリッチ美術館所蔵 ルーベンスとバロック絵画の巨匠たち」展カタログ

17世紀オランダのアルベルト・カイプによる「平原の眺め」です。

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「スウィーティのあたらしいふく」

ひつじグッズ

「スウィーティのあたらしいふく」表紙
「あ、ちょうちょうさん、まって。」
スウィーティは、ちょうちょうを おいかけました。
しっぽの さきが、いばらに ひっかかった ことに きづかずに。

 「スウィーティのあたらしいふく」 

エバ・オリビエ作、ジェンマ・サレス絵、古藤ゆず文の絵本です。
着ている毛糸(!?)がほどけてはだかんぼになってしまった羊の女の子スウィーティ。農場の仲間たちの協力で、服を直そうとするのですが……?

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ヒツジが自分で「オオカミが来た!」と知らせてくれるシステム

ひつじ事件

ヒツジを使い、差し迫るオオカミの脅威をテキストメッセージで羊飼いに通知するというのは非現実的に聞こえるかもしれない。しかし、1世紀ぶりにオオカミが出没し始めたスイスでは、すでに実験が始まっている。
前週実施されたスイスの牧草地での実験に協力した生物学者ジャンマルク・ランドリ(Jean-Marc Landry)氏は、「屋外でこのようなシステムが試されるのは今回が初めて」と語った。
スイス通信(ATS)によると、実験では約10頭のヒツジに心拍数モニターを装着。その後、口輪をつけた2頭のオオカミ犬にヒツジを追わせた。
結果、ヒツジの心拍数には大きな変化が現れた。この心拍数の変動を使えば、オオカミが嫌がる薬剤を吹き出す首輪を装着させ、さらに羊飼いにはテキストメッセージを送るシステムを考案できる可能性があることがわかった。
この装置は牧羊犬を導入できない小規模なヒツジの群れのオーナーをターゲットにしている。さらに番犬が好まれない観光地でも使用することができる。
この首輪の試作品は秋には完成し、2013年にスイスとフランスで実験が予定されている。また、ノルウェーなどの国も興味を示しているという。

南アフリカの羊泥棒対策の記事を教えてくださったak様から、引き続いて、スイスでのオオカミ対策実験についてお知らせいただきました。ありがとうございます。
小規模な群れが対象とのことですが、とても有効そうですね。実用化されれば良いと思います。

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チベット仏教のセテル儀礼

ひつじ話

セテル儀礼
[1] さきほどゲルの外側で待機していた羊を、B氏は香と水で清め始める。
(略)
[2] その間に僧侶は読経する。しばらくしてから、ザラム(リボン)の用意を命じる。5色が必要だという。
(略)
[3] 僧侶は今度は水を要求する。(略) 僧侶は、女性がもってきた水の入った椀の中に、ゆっくりと米粒を入れる。度胸は続く。
[4] しばらくしてから僧侶は、羊をゲルの中に連れてくるようにB氏に命じる。それを聞いて女性は、すぐ小さな絨毯をすばやく僧侶の近くに敷いた。B氏はゲルの外で待機していた羊を、ゲルの中に連れて入ってくる。そこで、僧侶はさらに、バターを要求する。僧侶はまず、ザラムを羊の首に結びつける。それから女性がもってきたバターを、羊の額、鼻、両耳、四肢、背中、尾まで塗っておくように、B氏に命じる。
(略)
[5] 「では、これで、いい」と僧侶は言う。読経は終了した。「このセテルに名前をあげよう。立派な名前を」と僧侶は言う。そこで、B氏は、前から用意していたかのように、即答する。「では、バヤンサンという名前にしましょう」。僧侶は答える。「よし、バヤンサンとしよう」。それから僧侶は祈る。「バヤンサンという白いセテルは、多くのケシゲを呼び寄せるように」。

ずいぶん以前にお話したことのある、チベット仏教系の牧畜地域で行われる家畜の聖別儀礼「セテル」について、「人と動物、駆け引きの民族誌」に式次第が報告されていました。
家庭に不幸があったときなどに任意に行なうもので、セテルすることでケシゲ(福)を呼べるのだそうです。日本人でいうと、厄年に氏神様でお祓いをするような感覚でしょうか?
ちなみにバヤンサンは、その後普通に群れに戻されたようです。売ったり屠ったりしないのはもちろんですが、ペットにするわけでもないのですね。

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