ごく初めから気球に興味を抱いたのは、ショーマンと科学者だった。
ショーマンたちは、スリルにとんだ見世物に仕立てて、ひとやま当てようとした。
その一人がジャン・ピエール・ブランシャールという男である。
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ブランシャールはイギリス海峡横断で一躍名をあげたが、その後ヨーロッパの主要都市を回って、たびたび飛行を披露した。
フランス革命が起る前の1785年11月19日には、まさに九死に一生の大冒険飛行をやってしまった。
ベルギーのケンから飛び立ったのだが、安全な上昇に必要な砂袋の重さを計算違いしたため、まるでロケットみたいに急上昇し、あっというまに3万2千フィート、つまり6マイルもの高さに昇ってしまった。
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ブランシャールはこの事故にもめげず、その後も何回となく飛びつづけて、新しい技術で大衆をあっと言わせようと、小型のパラシュートで犬やその他の動物を落下させる、という感心できないアイディアを思いついた。
先日ご紹介した「ほら吹き男爵の冒険」に出てきた気球乗りの男と羊ですが、なにか元になった事実があるのではないかと「気球の歴史」を繰ってみましたら、こんなお話が載せられていました。これでしょうか、やっぱり。いやしかし、なんてことを。
なお、モンゴルフィエ兄弟の気球にも羊はのせられているのですが、こちらは、人が乗っても大丈夫かどうかを確かめるためのまっとうな実験だったらしいです。