田畑再生へ、今度はヒツジ放牧 岩国市が実験
■来年度事業化目指す
田畑の再生を図るため、ヒツジに休耕地の雑草を食べさせるユニークな放牧実験を、岩国市が始めた。市内には二アール以下の休耕地が多く、現在の牛を使った放牧は二十アール以上が対象のため、ヒツジに目をつけた。県内では初めてで、市は来年度の事業化を目指している。
趣旨に賛同した山口県田布施町の田布施農高から雌の一頭を借り、長野、田原、天尾の三地区で順番に取り組む。一?一・五アールの荒れ地をさくで囲み、約一カ月間、放牧する。
最初の放牧地は、長野の農業岩重辰彦さん(64)所有の約一・五アールの休耕田。十九日に放牧されたヒツジは、旺盛な食欲で雑草を食べた。岩重さんは「予想以上に食べますね。整地が楽になり、高齢の農家には大助かり」と歓迎する。
市は昨年、JA岩国市などと共に県が進める「山口型放牧」を試験的に導入。牛二頭を二週間放ち、約二十五アールが整地されるなどの効果があり、本年度から事業化した。二十アール以上の休耕地の所有者やグループを対象に、二頭を七千円で貸し出している。
農家からは「牛を借りるには土地が狭い」「牛は臭いなどに抵抗があり、近所に受け入れられにくい」などの指摘があり、市は一回り小さいヒツジの導入を農家に提案。三地区が応じ、岩重さんは野犬などからヒツジを守る小屋も作った。
市は「ヒツジなら導入しやすいはず。農地の復旧、さらに作付けへとつなげたい」としている。
【写真説明】岩重さんの休耕田で始まったヒツジの放牧実験
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