サル去ってヤギ駆ける、にぎわい期待の天王寺動物園

 ヤギ、サル山に登る――。大阪市の天王寺動物園で、結核感染のため安楽死処分にされたニホンザルのすみかだったサル山に今月、ヤギ1匹が引っ越してきた。
 サルの安楽死というつらい決断から1か月。寂しくなった山の新しい“住民”として岩や木に登る習性もあるヤギに目をつけた。ヤギも気に入っている様子で、園は今後、数を増やし、ヒツジを同居させることも考えている。1937年以来、人気を集めたサル山はなくなるが、「ヤギ山」として歓声を取り戻しそうだ。
 サルは昨年7月に最初の結核感染がわかり、全15匹を個別のオリに移して治療したが、4匹が今年2月に死亡。残る11匹中7匹の感染も確認され、「回復の見込みはなく、苦痛を与えるだけ」と3月末、麻酔投与で安楽死させた。
 直径12メートル、高さ6メートルのサル山は昨年10月以降、主(あるじ)不在となっていたが、人気スポットのうえ、人通りも多く、来園者から「寂しい」との声が上がっていた。
 同園は、サル山の復活を検討したが、現在の施設には個別ブースがなく、人になつかないニホンザルを群れから離して健康診断を行うのが難しい構造で、この場所で再びニホンザルの飼育はできないと断念。
 そこで注目したのが、高いところにも抵抗を示さないヤギ。足が丈夫で、好物の若芽を食べるため木に登るヤギがいることも知られており、試しに、園にいる3匹のうち1匹を、昨年12月から3か月間、放したところ、岩を駆け上がって遊び回っていたという。
 今月18日に正式に引っ越しさせた。1匹だけでは少ないため、同園では国内の他の施設からヤギを譲り受けたり、園に7匹いるヒツジのうち何匹かを移したりすることを検討していく。
 長瀬健二郎・飼育課長は「私たちにとってもサル山のない動物園は残念だが、サル山とヤギという新しい光景を楽しんでほしい」と話している。
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大阪・天王寺動物園、コンクリートの岩山に登るヤギ


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