イノシシ撃退にヒツジ効果は!? 農産物被害防止に放牧実験

放牧実験中のヒツジ
 県農業技術振興センター(安土町)などは二十四日、近江八幡市島町の山すそにヒツジを放牧し、農産物をイノシシ被害から守る実験を始めた。ヒツジでの実験は全国的にも珍しいという。
 県内のイノシシによる農産物被害は深刻で、二〇〇二年の被害額は一億円近くに上った。翌年は対策を講じ始めたため少しは減少したが、相変わらず農家を苦しませている。
 この日、三頭の雄ヒツジを放したのは、イノシシが明るい場所を嫌うことから、県立大などが山すそ沿いの雑木などを伐採した「緩衝地」。一ヘクタールのエリアのうち十五アールをさくで囲い、放牧した。
 県立大は捕獲したイノシシに発信器を付けて行動域などを調査。同センターによると、イノシシは当初、緩衝地から遠ざかったが、ネザサなどが生い茂ってくると再び近づきだしたという。
 実験では、ヒツジがネザサなどを食べて明るい環境を維持することや、ヒツジを警戒してイノシシが出没するのを防ぐ効果などを調べる。
 実験は十一月まで続けて成果をまとめ、この春に発足した県野生獣被害防止対策支援チームを通して、各地の被害対策に生かす計画だ。
 この日は、近くの島幼稚園児も放牧の見学に訪れ、ヒツジを触ったりして楽しんでいた。同センターの北川良治副主幹は「人の気配でイノシシは近づかなくなるので、見学に来てほしい」と話している


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