タカワラビの根茎

タカワラビの根茎
バロメッツまたはタルタロスと呼ばれる植物をご存知だろうか。幹の先あるいは地中に羊を生み出すという伝説の植物である。14世紀の初頭にタタール地方で10年間を過ごしたフランシスコ派のイタリア人修道僧オドリコやマルコポーロの見聞録をもとに、自らもトルキスタンや中国を旅したイギリス人のJohn Mandevilleが1356年に著した旅行記のなかで紹介したものである。
 この不思議な想像上のものと考えられる植物の実体はシダではないかと考えたのがドイツの科学者で1725年のことだという。ほどなく、ジョージ2世の侍医でもあった Sir Hans Sloane が、これこそバロメッツの標本だとロンドン王立協会に持ち込んだものが、褐色の鱗片で覆われた小さな羊を思わせるタカワラビの根茎であった。

「バロメッツ」の学名、「スキタイの羊」の英名、「ヒツジシダ」の別名を持つシダ植物です。伝説のバロメッツの正体なのかどうかは、とりあえず謎、ということで。

ひつじ話

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