「醜い羊」を探せ、羊毛の質向上の研究で 豪州

オーストラリア主要産業のひとつ「羊毛」の品質向上のため、州政府機関などの研究者がこのほど、「醜い羊」探しに着手した。どんなに皺(しわ)だらけでも毛が薄くても、でこぼこした体つきでもヘンな顔でもいいから、「羊毛には向かない」として処分せず、研究者に受け渡して欲しいと、生産者に呼び掛けている。
オーストラリアの羊毛産業規模は、年間28億オーストラリア・ドル(約2375億円)。各方面で利用が進む合成繊維に対抗するため、研究者らは羊毛の品種改良に努めている。
「醜い羊」探しを始めたのは、アデレード大学と、南オーストラリア州機関のSARDI。見た目や毛の質が悪い羊の遺伝子を調べることで、質の高い羊毛に向けた羊の品種改良が、より容易になるという。
アデレード大学の研究者、ポール・ハンイドさんは、「遺伝子に何か異常が生じた場合、その異常が現れている部分から、遺伝子の特定が簡単になる。逆説的だが、羊に何かおかしい部分があれば、そのおかしい部分に関係する遺伝子解析が飛躍的に進む」と話している。
また、「最新の遺伝子工学を使えば、『醜い羊』こそが、より伸縮性が高く、ちくちくしない、滑らかで紡ぎやすい羊毛の生産につながる」としている。
生産者は一般的に、羊が生まれた時点で、毛が強くよじれていたり、毛が薄い部分があったりすると、羊毛生産に向かないとして処分することが多い。しかし、ハインドさんは、「一見、役に立ちそうにない羊こそ、羊毛産業にとって重要だ」と強調し、生産者に『醜い羊』の提供を求めている。

ひつじ話

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