石灰岩浮彫の「犠牲の羊」
何に用いられたものであろうか、石版の断片である。場面は、同じ考古館に保存されている類似した石版との比較によって、『創世記』第20章に記されている「イサクの犠牲」の左端の部分であろうと推測されている。 (略)
聖書によると、この羊は「藪に角を引掛けた牡羊」であるが、この石版では、羊はただ立っているだけである。そしてその背中から椰子らしい樹が、大きい葉を三枚つけて突き出ている。
動物の背中から樹が生え伸びているのは、実は東方文化圏で古くから発達した一つの型なのである。 (略)
このような表現は、おそらく動物と植物との間の輪廻転生を意味するのであろう。動物は植物を食べて生き、死んで地に還りまた植物を育てる。
イスタンブール出土の、7世紀の石灰岩浮彫です。前に樹下動物文様のお話をしたことがあるのですが、これはその続きになるでしょうか。
なお、「イサクの犠牲」についてはこちらに。
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