シンボルとしての「羊飼い」
Shepherd 羊飼い、牧者
羊飼いは、あらゆる群集を導き保護する者、救済者、である。羊飼いは死者の魂の導者でもあり、そこから死者を支配する神と結びつけられるが、この神は羊飼いの牧杖を持物とする。<善き牧者>は、シュメール、イラン(ゾロアスター教)、ユダヤ、オルフェウス教、ヘルメス思想、ピタゴラス主義、チベット、キリスト教など、多くの伝統文化に見られる。
【古代近東】 植物の神でありまた羊飼いであるタンムズは、群れの保護者である。アミュノスとマゴスは、フェニキア人に牧畜を教えた。
【チベット仏教】ダライ・ラマは、いわば<いと慈悲深き善き牧者>たる観音菩薩の化身といわれる。
【キリスト教】羊飼いは、<善き牧者>キリストとして、キリストの人間性と憐れみの心をあらわし、さらにまた迷える者のとりもどし、を象徴する。
【エジプト】神ラーは「万人の<牧者>」である。エジプト王はその民を導く羊飼いである。
【ギリシア】羊飼いオルフェウスは<善き牧者>で、持物として肩に牡羊あるいは仔山羊を載せている。ヘルメス・クリオフォロスすなわち「雄羊を抱く」ヘルメスも、<善き牧者>である。牧神パンは牧夫であり、神ヘルメス/メルクリウスは魂の牧者である。
【ヒンドゥー教】シヴァ神は牧夫であり、神クリシュナは牛飼いや牛の世話をする若い女たちと結びつけられる。
【イラン】<黄金時代>の王イマは、太陽の目をもつ<善き牧者>で、不死の秘密を握っている。
【イスラム】「「神の栄光は羊飼いたちのあいだにある」。
羊を肩にのせた羊飼いの姿がとても気に入ったので、「世界シンボル辞典」で「羊飼い」を引いてみたら、たいへんなことになってしまいました。羊飼いイメージは、世界中に満ち満ちているようです。うう、どこから手をつけたものか。
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