漢の高祖と晋の石虎と、羊の夢

漢の高祖がまだ側微で一亭長にすぎなかった頃、一匹の羊を逐いまわし、その羊の角を抜き、尾を落としたという夢を見ました。羊という字の角にあたる部分を抜き、尾にあたる部分を落としますと、王という字になる、これは他日、王となる吉兆であろうといわれましたが、果たして後に関中の王となり、ついには漢の天子となったのです。
こういった吉夢に反して、晋の石虎は群がる羊が魚を負うて東北からやってきたという夢をみ、その吉凶を仏円澄に問うたところ、羊が魚を負うというのは鮮である、きっと鮮卑が東北から攻めてくる前兆だろうといいました。果たして間もなく鮮卑族から起こった慕容氏が中原を取ることになったということです。

諸橋轍次が、十二支の動物たちにまつわる史実や伝説、ことわざなどを縦横に語っています。未(羊)の章からおもしろいところを抜き出してみたのですが、以前にこれと似た系統で、黄帝が力牧を探し出したお話をしてますね。

ひつじ話

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