羊の群れはみな亡命者
左慈は仙人だから、術をつかって羊に変身したが、人間がじっさいに羊の皮をかぶり、住みたくない土地、あるいは住めない土地から脱出するのは現代の話である。ホメイニ師のイラン革命のあと、亡命希望者はそんな恰好をして、羊群にまぎれ、草原を匍って国境をこえたという。
(略)
イランでこれについての小咄をきいたことがある。
羊群を国境まで連れ出した牧人が、「もう大丈夫だぞ」と呼ばわると、亡命者はほっとして両脚で立ちあがった。ところが、いっしょに歩いてきた数百の羊が、みな一斉におなじように立ちあがったので仰天したという話である。
日産CUBECMの立って逃げる羊を見ているうちに、ふと左慈仙人のことを思い出し、左慈について書かれていたはずだと陳舜臣の「西域日誌」を読んでいたら、たいへんな一節に出会ってしまいました。なんというか・・・物理的に可能なんでしょうか。
最近のコメント