千一夜物語 「羊の脚の物語」
いよいよ二人とも茣蓙の上に出すべきものを載せ終ると、二人は自分たちが全く同じ食糧を持っているのに気がつきました。胡麻入りのパン菓子と、なつめやしと、羊の脚の半分です。そしてやがて、その羊の脚の両方の半分がぴったりと隙間なく合うのを確かめた時には、二人は驚きの限り驚きました。そして一緒に叫びました、「アッラーフ・アクバル!〔アッラーは偉大なり!〕 この羊の脚は、死んでも焼かれても味をつけられても、その両方の半分どうしがやがて出会うように、記されていたのだな。」 次に掏摸は泥棒に訊ねました、「お前さんの上のアッラーにかけて、おお、仲間よ、この羊の脚の肉片はどこから持ってきなすったのか、伺えますかね。」
(略)
そしてやがて、問を重ねてゆくと、この二人の盗賊は、そもそも結婚の日から、そうとは知らず、同じ寝床と同じ燃え木をともにしている仲間だという確信を得るに到りました。
「千一夜物語」の一篇、「羊の脚の物語」です。ひとりの女を巡って腕比べをすることになった掏摸と泥棒のお話。上は、物語の始まりの、同じ女に自分たちが騙されていたことに二人が気づく場面です。・・・羊の脚で。
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