ラ・フォンテーヌ 『寓話』より「羊飼になったオオカミ」
羊飼になったオオカミ
近隣のヒツジたちに
いくらか知られてきたあるオオカミは、
はかりごとを用いて、
新しい扮装をしなければならない、と考えた。
かれは羊飼の衣装をつけ、外套を身にまとい、
棒きれを杖にして、
風笛も忘れない。
(略)
ぺてん師はかれらをそのままにしておいて、
ヒツジたちを自分の棲処へひっぱっていけるように、
衣装のほかに、ことばを用いようとした。
それが必要と考えたので。
が、それがことをぶちこわした。
かれは羊飼の声をまねることができなかった。
ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの寓話詩から、「羊飼になったオオカミ」です。羊飼いに化けてヒツジたちに近づき、その声のためにたくらみがあばかれ、着込んだ外套のために逃亡にさえ失敗するオオカミのお話。「オオカミはオオカミらしくふるまえ。」という教訓が最後につくのですが、そう言われても。
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