「砧」

羊のあゆみ隙のこま。羊のあゆみ隙の駒。
移り行くなる六つの道。
因果の小車の火宅の門を出でざれば。
回(めぐ)り転(めぐ)れども生死(いきしに)の海は離るまじやあぢきなの浮世や。
※注解
人は時には早く時には遅く六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)をめざして因果の車に乗ってこの火に包まれた迷いの現世の門から出ていくのでなければ。

 「観世流・声の百番集 27 砧」 

「砧」から、クライマックス近くの地謡です。
ここでの「羊」は、幸田露伴の「羊のはなし」「十二類絵巻」羊の歩みのお話でご紹介した、古い時代のひつじイメージである、「無常」を意味しているようです。

ひつじ話

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