アヴィニョンの聖ベネゼ
聖ベネゼは、復活祭の時期に祝日をもつ、通過に関連した聖人である。
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ベネゼは、アヴィニョンの橋を建設した人物である。そして、民間伝承では、渡し守にして橋の建設者という、傑出した人物として名を残している。
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復活祭とはなによりも、キリストが体験した(生から死へ、ついで死から生への)通過を祝う祭りである。聖ベネゼはしたがって、春分の季節に見られる重要な通過神話を、復活祭の時期に明確に伝えているのである。
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『聖ベネゼ伝』によれば、「皆既日食が起きた日のこと、ベネゼという名の少年が牧草地で母の雌ヒツジの番をしていた」。天から声がして、突然、彼にこう命じる。「そこにそなたの母のヒツジを残したままにしておきなさい。なぜなら、そなたは私のために、ローヌ川に橋を作らなくてはならないからだ」。ベネゼがためらっていると、その声は、代わりにヒツジの番をすることと、ベネゼをローヌ川まで案内する仲間を一人、彼にさしむけることを約束する。そしてベネゼは、杖と荷袋を持った巡礼姿の天使と出会う。
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ベネゼがそうだったような、羊飼いという低い身分を、いくつかの伝説的な偉人の伝記に照らし合わせて考察しなくてはならない。
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将来王となる人物は、幼年時代、羊飼いたちによって人里離れたところで育てられる。キュロス大王〔ペルシア帝国アケメネス朝、前559?530年〕、ミトリダテス六世エウパトル〔ポントス王国、ミトリダテス朝、前120?63年〕、ロムルス〔ローマの建国者〕、アルタクセルクセス〔ペルシア帝国アケメネス朝〕の伝説は、このモデルに忠実にしたがっている。ここに名をあげられた人物はみな、田舎や森で幼年時代を過ごすが、それは後に王に選ばれるしるしなのである。
アヴィニョンの橋を架けたことで知られるキリスト教の聖人、聖ベネゼに関する考察から。
引用中の、復活祭の異教性や英雄の社会的身分と使命の落差の話を含め、大変エキサイティングな本なのですが、読者が悪いと、妙に気安い神様のことばかりを気にしていたりするわけです。代わりにヒツジの番を……。
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