『千一夜物語』より 「荷かつぎ人足と乙女たちとの物語」

老人は一頭の生きた羊を連れて来て、一同これをほふり、その皮をはぎ、皮をきれいに掃除しました。
それから彼らは私に言いました、
「あなたはこれから、この羊の皮の中に縫いこまれて、そしてこの銅の御殿の露台の上に出しておかれることになります。
すると、象でもさらって行くことのできるような、大きな『怪鳥ロク』が、これをほんものの羊と思って、あなたの上に襲いかかり、あなたを雲までつりあげて、それから人間の近づきえない高山の頂上におろして、あなたをひと呑みにくらおうとするでしょう。
だがそのときあなたは、この刀をさしあげますから、これでもって羊の皮を破って、外に飛び出してしまうのです。
すると恐ろしいロクも、人間は食わないから、あなたを食べないで、どこかに見えなくなってしまうでしょう。

千一夜物語マルドリュス版から、第9夜から第18夜にあたる「荷かつぎ人足と乙女たちとの物語」の中で語られるエピソードです。偏食怪鳥……。

ひつじ話

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