『変身物語』より 「ガラテイアとアキス ポリュペモス」
『あんたの額の真ん中の一つ目は、オデュッセウスにつぶされるだろう』
ポリュペモスは、からからと笑っていいます。
『このうえなく愚かな予言者よ、きさまのいうことは間違っている。
この目はとっくにつぶれているのだ―さる女の美しさを拝んでな』
(略)
荒くれた一つ目の巨人はこの丘に登って、ど真ん中に腰をおろしました。
毛の長い羊たちも、誰に追われるともなく、あとへついて来ています。
(略)
『ガラテイアよ、お前は雪のようなもくせいよりもなお白く、牧場よりも華やかだ。
(略)
ここにいる羊は、すべてがわたしのものだ。
ほかにも、谷間をうろついているのがたくさんいる。
森陰にひそんでいるのも多いし、洞穴のなかに囲われているのも多い。
ひょっとしてたずねられても、いったい何頭がいるのかを答えることは、わたしにもできないだろう。
オウィディウスの「変身物語」から、一つ目の巨人の悲恋と、彼の横恋慕のために破滅した恋人たちのエピソードを。
巨人ポリュペモスは羊飼いで、美女ガラテイアに対する求愛の台詞によれば、多くの羊を所有しているようです。
この羊たちが、後々、オデュッセウスを助けることになるわけですが、それはまた別のお話。
「変身物語」関係では、他に、「イアソンとメデア」の金毛の羊や、ブリューゲルの「イカロスの墜落のある風景」などをご紹介しています。
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