「牧師さんの羊を盗んだ男」
まい年クリスマスになると、よく肥えた羊を盗むことにしている男がいた。
ある年のクリスマス、男は牧師さんの羊を盗み、十二、三歳になるその男の息子は村じゅう歌ってまわった―
うちの父ちゃん、牧師さんの羊を盗った
おかげてうちじゃ楽しいクリスマス
プディングだって肉だって食べほうだい
でもこいつはないしょ、ひみつの話
ところがある日、牧師さん本人がこの歌を聞いてしまった。
「坊や、なかなか歌がうまいね。この次の日曜の夜、教会へ来て、今のを歌ってくれないかね?」
「イギリス民話集」の「こっけいな話」の章から。偽善者の牧師さんがひどいめにあうお話です。この坊やが教会で歌った歌は、もちろん羊を盗んだ歌ではなくて……。
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