亡羊補牢

襄王曰く、寡人、先生の言を用ふること能はずして、今、事此に至れり。
之を為すこといかんせん、と。
荘辛對(こた)へて曰く、臣聞く、鄙語に曰く、兔を見て犬を顧みるも、未だ晩(おそ)しと為さず。
羊を亡うて牢を補ふも、未だ遅しと為さず、と。
通釈
襄王は言った、「わたしは、先生のおことばを用いることができなかったばかりに、いま、このような体たらくに立ち至りました。どうしたものだろう」と。
荘辛がお答えして言うには、「臣の聞くところでは、世間の諺に、『兎を見つけてから犬を探しても、まだ遅くはない、羊を取り逃がしてから囲いを修理しても、まだ遅くはない』と申します。

問題が起きてから対策をたてる様を表す故事成語、「亡羊補牢」の由来です。戦国策・楚策から。
の襄王は放蕩奢侈を諫める荘辛を退けます。その後、秦の攻勢のために楚は危うくなり、後悔した襄王は荘辛を呼び戻します。その時の、忠臣の発した言葉が、この「羊を亡うて牢を補う」。
まだ間に合う、なにもしないよりは良い、という意味が含まれていて、単なる「あとのまつり」ではないところがポイントでしょうか。
故事成語は、この他に、肉袒牽羊多岐亡羊以羊易牛、以羊易牛関連で曲亭馬琴「烹雑の記」などをご紹介しています。

ひつじ話

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