『山家清供』より「山煮羊」

山煮羊(さんしゃよう、羊の山家煮)
羊をきりみにして砂鍋(どなべ)に入れ、葱、椒(さんしょう)を加えるが、そのほかに一秘法がある。
それは杏仁数個を槌でつぶして入れ、活水で煮るだけだが、骨でさえとろとろになる。
しかし折角のこの方法も、世に容れられないのが、つねづね残念である。
この方法は、漢時の一関内侯など、足もとにも及ばないのに。

南宋の美食のお話を少し前にしたことがあるのですが、その時代の料理書「山家清供」に羊料理のレシピがありました。山家住まいに憧れる文人が書いた「理想的な食生活」の本なので、当時の一般的な料理ではないらしいのですが、どれも美味しそうです。筍と蕨のワンタンとか、梅の花のお粥とか、柚の蟹肉詰とか、……なんか本気でお腹空いてくるんですが。
ところで、本文にある「漢時の一関内侯」について、これはこれで興味深い註釈がついてますので、下に改めて。


後漢
の光武帝の族兄劉玄は、新の王莽を倒して帝位に即いたが、酒色に耽り、高官に取り立てた者はみな料理番や料理人などだったので、都の人々は「竈下の養(まかないかた)は中郎将、羊胃を爛(に)るは騎都尉、羊頭を爛るは関内侯」といった。一関内侯とは、この羊頭を爛(やわらか)に煮ることによって関内侯に取り立てられた人をいう。

ひつじ話

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