ホジャの笑い話 「いばらの木がおおきくなるころには」

ホジャはおかみさんと借金取りのやりとりを聞くために、こっそりドアの後ろに隠れました。
まもなく、玄関のドアをガンガン叩く音が聞こえてきました。
(略)
「まあ旦那、すんませんねえ。うちのひとはいま出かけていてさ。
(略)
だけどね。そのうち、少しずつためて必ずお返ししようと、そりゃあ真剣に考えているんだわ。
その証拠にね。家の前に茨の木を一列植えるつもり。
その茨が大きくなる。村の羊たちが家の前を通る。羊たちが通るたびに羊の毛が茨に引っ掛かる。
たんと引っ掛かった羊の毛を紡いでさ、よって糸にしてさ、市場へ持って行って売るんだわさ。
そうして、どっさりことお金を儲けたら、いの一番にあんたさんに払いましょうよ。
あたしら、あんたさんの借金をふみたおそうなんて、これっぽっちも考えておらんことよ」

トルコの伝説上の人物である、ナスレディン=ホジャの笑話集から。
へらずぐち仲間ということで、「バラガンサン物語」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」もあわせてどうぞ。

ひつじ話

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