千羊の皮は一狐の掖に如かず
趙簡子(ちょうかんし)の家臣に周舎(しゅうしゃ)というものがあって、遠慮なく諫言をすることに抜きんでていた。
周舎の死後、簡子は朝廷に出るたびに、いつも不機嫌であった。
大夫たちが申しわけないと詫びると、簡子は言った、
「そちなどの咎ではない。『千羊の皮は、一狐の掖(えき)に如かず〔一匹のきつねのわきの毛皮に及ばぬ〕』と言うことがある。大夫たちが朝廷に出ておっても、ただ唯唯(いい)の声〔はい、はい〕が聞えるばかり、周舎の諤諤(がくがく)〔まっすぐな言葉〕は聞えぬ。それがわしの悩みである」。
先日の微子の「肉袒牽羊」に続いて、史記世家を典拠とする故事成語をもうひとつ。
史記趙世家より、趙簡子の「千羊の皮は一狐の掖に如かず」という嘆きの台詞です。諫言をなす家臣の貴重さが、やはり貴重品である狐のわきの毛皮にたとえられているのですが、羊の立場がなさすぎです。
故事成語は、これまでにいくつかご紹介しておりますので、こちらでまとめてぜひ。
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