宋代の厨娘図
宋代の画像磚の「厨娘図」
宋代の厨娘にはたしかに尋常ならざるところがあったが、いったいいかなる姿かたちをしていたのであろうか。
出土した宋代の磚刻(せんこく)〔彫刻を施した煉瓦〕から、厨娘の風采を見て取ることができる。
中国歴史博物館収蔵の四個の厨事画像磚に、厨娘が料理をしているいくつかの光景が描かれている。
磚刻に描かれている厨娘の服装はだいたい同じで、いずれも髷をきちんと高く結い、服装をきちんとととのえ、頭が切れてやり手である風格を漂わせ、ひいては優雅で落ち着いている気配さえにじませている。
(略)
これらの画像磚はみな宋代の墓から出土したものであるが、宋代の人びとが厨娘の画像磚を副葬品にしていたことは、生前に厨娘を雇ったことがないので、死後にその望みがかなうよう願ったか、生前に厨娘の作った料理を味わっていたので、死後も生きているときと同じように厨娘にかしずかれることを願ったことを意味する。
青木正児の「酒の肴・抱樽酒話」や井波律子の「中国文学の愉しき世界」などでお話している、女料理人「厨娘」についてもう少し。
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