新美南吉 「ぬすびととこひつじ」

おなかが すいて いる ぬすびとの めに、ふと まるまるした こひつじが 一ぴき、みんなと はなれて あそんで いるのが うつりました。
「あの こひつじは うまそうだ。」
と いって、ぬすびとは その こひつじを こっそり ぬすんで ふところに いれました。
(略)
けれど、こひつじは ころされるとは ちっとも しらずに ぬすびとの かおを みあげて いるので、ぬすびとは きゅうに かわいそうに なりました。
(略)
こひつじは おかあさんの おちちが こいしく なって きて、
「めい めい、おかあちゃん おかあちゃん おちち のみたい。」と なきました。
「こまった やつだな、おれには おちちが でないから やっぱり もとの まきばへ つれてって やろう。」と いって、ぬすびとは ぺこぺこの おなかを おさえながら また もと きた みちを かえって ゆきました。

新美南吉の童話集から、「ぬすびととこひつじ」です。あいだをずいぶん略してしまいましたが、機会があれば、ぜひ全文をお読みになってみてください。心をわしづかみにされてしまいますから。

ひつじ話

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