「ゲルのコスモロジー」

日時計としてのゲル
ゲルは時計でもあった。
時計のない時代のモンゴル人は、ゲルのある部分に太陽の光が当たるのを見て時を知ったのである。
たとえばウサギの刻[午前六時]に陽光がゲルにさし込む。
辰の刻[八時]、巳の刻[十時]、午の刻[十二時]、未の刻[十四時]、申の刻[十六時]、酉の刻[十八時]には、ゲルのどのあたりに光が当たるかについて季節や地方によって使い分けていたのである。
そして、この決まりは、牧民の日々の労働にもかかわっていた。
たとえば、牛の乳搾り、羊の放牧、羊の昼の搾乳、移動、羊の水やりなどすべて太陽時計、つまり、ゲル時計で行なっていたのである。

モンゴルの移動式住居ゲルについて考察する「遊牧民の建築術」から。
ゲルは、ふつう出入り口を南にして建てるもので、居ながらにして日時計として使えるのだそうです。便利。

ひつじ話

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