『ジャータカ』より「羊問答」

羊と犬は、
「さて、われわれはどうして生きていったらよいものか」
と生きるすべを考えた。そして、羊が言った。
「もしわれわれが協力して暮らしていければ、いい考えがあるよ」
「それを話してみてよ」
「お友だちさん、きみはこれから象小屋へ行きなさいよ。
『犬は草なんか食べない』と[思って]象番はきみに疑いをかけることはないだろう。
きみはぼくが[食べる]草をもってくる。
ぼくは[王の]台所へ入って行く。
『羊は肉なんか食べない』と[たかをくくって]、料理番はぼくを疑わない。
ぼくはきみが[食べる]肉をもってこよう」
(略)
王はかれらがなかよくしているのを見て、考えた。
「ああ、わしは、いままで見たことのない光景を見てしまった。
羊と犬はたがいに敵であるのに、なかよく暮らしている。
このことを取りあげて難問とし、賢者たちにたずねてみよう。
この難問を解けなければ国外追放としよう。

仏教の本生譚『ジャータカ』の「大トンネル前生物語」より、「羊問答」を。
世尊の前世である賢者マホーサダが仕える王様がもちだす、理不尽な難問のひとつです。

ひつじ話

Posted by


PAGE TOP