ダン・シモンズ 「エンディミオン」
とはいえ、〈教える者〉の年代記において、かつて彼女にいちばん近しかった使徒として名を記すには、やはり“羊飼い”の呼称がふさわしいにちがいない。
“羊飼い”ということばは、この年代記にバイブル的な趣きをもたらしてくれるだろう。
この呼び名に異存はない。だが、この物語において、ぼくは羊の群れではなく、かけがえのない大事な大事な一頭の羊だけを守護する羊飼いとして描かれるはずだ。
しかも、ちゃんと見張ることより見失うことの多い羊飼いとして。
以前ご紹介した、ダン・シモンズ「ハイペリオンの没落」の続編です。
タイトルロールであるエンディミオンの名前はジョン・キーツの同名の詩に由来しており、むやみに人生経験豊富な本編の主人公も、遊牧民出身者という一面を持っています。
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