小川一水 「天冥の標 6 宿怨 PART3」
次にブレイドはメララの隣のヒツジに目をやった。
「それは一体? 家の中で粗相をされると困るんだが」
するとそのとき、メエ、メエエエ、と喉を慣らすように鳴いてから、ヒツジがひずんだ声で答えた。
「ブ─ブレイド・ヴァンディ、君たちがヒツジの落とし物を忌々しく思っていることは、ザリーカの時代からよく知ってる。ちゃんと砂箱で用を足すから心配はいらないよ。ひとまずぼくたちと手を結んでくれないか」
毎回、新刊を待ちかねて読む小川一水の大河SF「天冥の標」シリーズが、第六巻(分冊の巻があるので九冊目ですが)にしてついに中盤戦を終えたようです。
五百年に渡る宿怨、人類社会の危機、共存を求めてなおあがく人々。そしてヒツジ(いえほんとに)。
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