グリム『ドイツ伝説集』より「大口マルガレーテ・マウルタッシュ」

チロル地方やケルンテン地方の人々は、マルガレーテ・マウルタッシュの幽霊の話をよく聞かせてくれる。
マルガレーテは遠い昔この国の領主だった。
たいそう大きな口をしていたので大口(マウルタッシュ)という綽名を頂戴していた。
(略)
オスターヴィッツの城からほど遠からぬところに一つの廃墟がある。
その傍らの草地で羊に草を食べさせていた羊飼で、ぼんやりしていて廃墟に近づいてしまい、鞭の一撃を食らった者は何人もいる。
そのためそこにはそれとわかる目印が立てられており、そこから先へは誰も羊を追って行くことはない。
羊の方も、何も知らない羊飼が目印を無視して追って行っても、そこに生えているよく茂った美味しそうな草を食べようとはしない。

先日の「人狼岩」につづいて、グリムの『ドイツ伝説集』から。14世紀のチロル女伯マルガレーテ・マウルタッシュにかかわる伝説です。

ひつじ話

Posted by


PAGE TOP