フローベール 「紋切型辞典」
羊飼い〔berger〕 羊飼いはみんな魔法使い。
聖母マリアと言葉を交わせるという特技を持っている。※
※ マリア信仰が高まった十九世紀には、ルルド、ラ・サレットなどで聖母マリアが顕現するという奇蹟が何度も起こり、その際、聖母の姿を目にしたのはしばしば羊飼いの少年少女だった。
ギュスターヴ・フローベールのパロディ辞典「紋切型辞典」から。
内容や表現の「紋切型」感そのものが揶揄の対象になっているのがポイント。
現代日本人にとっては、むしろ、19世紀フランス人の常識を知る手がかりとして重宝です。
羊飼いは、やはり相当あやしげなもの扱いされていたようですね。
この羊飼いのイメージについては、ミレーの伝記や、ジュール・ヴェルヌの「カルパチアの城」、アルフォンス・ドーデーの「星」をご紹介したときに触れています。
あと、ファンタジー小説内の設定ながら、「狼と香辛料」のノーラは、たぶんこうしたイメージから作られたキャラクターなのではないかと。
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