ジュール・ルナール 「博物誌」

羊たちは道じゅうを占領し、両側の溝にはさまれて波うち、道からあふれ出る。
そうかと思うと、道にぎっしりすしづめに集まって、ふっくりしたひとかたまりになり、ばあさん連のやるみたいな小きざみな足どりで、地べたを踏んで進む。
いったん駆けだしはじめると、無数の脚が葦の葉が鳴るような音をたて、道に積もった土ぼこりの層は、はちの巣みたいに穴だらけになる。

ジュール・ルナールの「博物誌」より、「羊」です。
「博物誌」は、身近な動物たちが簡潔かつ的確に、かつ愛情こめて表現された、味わい深い短編集です。

ひつじ話

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