19世紀イギリスの羊料理

イギリスの料理にとっては気の毒な時代だった。
ヴィクトリア女王の料理長、シャルル・エルメ・フランカテリは、1845年に『現代の料理』を出版したが、同書にはお定まりの亀のスープに加えて、羊の喉袋、耳、足だけでなく鹿肉とトナカイの舌のためのレシピまでが満載されていた。
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リフォーム・クラブ(ロンドンの格式高いジェントルマン・クラブ)のシェフ、偉大なるアレクシス・ソーヤーには、それほどの霊感はなく、羊の首と頭の煮込みが、その『大衆のための一シリング料理集』の目玉だった。
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当時の料理書の著者は、大衆の望むもの、つまり良質で簡素な食べ物のレシピを提供しているのだと主張していたかもしれない。
しかしそれらの料理は確かに簡素ではあったが、あいにくほとんど良質ではなかった。
食料品店は長年にわたって混ぜ物をして、不当な利益を上げていたのである。

世界史上の食物に関するエピソード集から、19世紀のイギリスで作られた羊料理についての部分を。

ひつじ話

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