没忽羊羹
隋・唐の食文化は北方的である。幸いなことに、この時代の献立集が二つものこっている。
その第一は隋の謝楓の『食経』である。書かれた時期ははっきりしないが、何せ隋は三十年しか続かなかったのだから、その前後に多少くいこむとしても、まずは紀元600年ころのものと見て宜しかろう。
(略)
料理法は書いてないから、後世の料理書で類推するより仕方がない。仲でも傑作は
没忽羊羹 人数にあわせて鵞鳥を全るのまま下ごしらえし、その腹に粳米飯と香辛料・調味料を詰めこみ、毛や臓物をぬきとった羊の腹にその鵞鳥をつめこんで、全焼にする。 あとで取り出して鵞鳥だけを供する。
羊一頭を全るまるダシにする。何とも贅沢なはなしだ。
篠田統「中国食物史」より、「隋・初唐の料理」の項を。
中国の料理書については、時代は離れますがいくつかご紹介しています。
「居家必用事類全集」と「山家清供」、羊のあつもの絡みでお話した「斉民要術」、清朝の「随園食単」など。おいしそうだったり、想像もつかなかったり。
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