ブリューゲルの農民観

前景で大きくその存在感を示す農民に注目しよう。
彼の着用している赤いシャツの色彩も青い海の色との対比で人目を引く。
(略)
他方、羊飼いや釣り人はまったく目立たなく、点景人物のようである。
つまりブリューゲルが労働に没頭している農民をこの構図の実質上の主役としているのである。
(略)
ブリューゲルは「四季版画」シリーズのために下絵素描を制作したとき(実際は《春》と《夏》しか完成させなかったが)、《春》では三月、四月、五月の三ヶ月の営みのうち、菜園や花壇作りに励む農民の姿を最も大きく扱った。
それに対し、四月の羊の毛刈りと五月の運河での遊びははるかに小さく描かれていた。

農民の生活を描くことに高い価値を見いだしたピーテル・ブリューゲルの表現について、森洋子氏の著書から、「イカロスの墜落のある風景」「春」に関しての一文を引用。
ただし、このベルギー王立美術館所蔵「イカロスの墜落のある風景」は、すでに失われたブリューゲル作品のコピーである可能性が高いのだそうですね。こちらの本を読むまで知らなかったのですが。
これまでにご紹介したブリューゲルについては、こちらで。

ひつじ話

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