『黄金伝説』より「聖パトリキウス」
ある男が、隣家の羊を盗んで食べてしまった。
聖パトリキウスは、だれであろうと盗んだ人は罪のつぐないをしなくてはならないと、なんども人びとに説いて聞かせた。
しかし、だれも名のりでなかった。
そこで、パトリキウスは、みんなが教会に集まった席でイエス・キリストのおん力にかけてその羊を呼びだし、それを食べた人間のからだのなかで啼かせることにした。
羊は、盗みをはたらいた男の腹のなかで「メエー」と啼きだした。
こうして、その男は、たいへん恥ずかしい思いをして罪ほろぼしをしなくてはならなかった。
中世ヨーロッパの聖人伝、ヤコブス・デ・ウォラギネの「黄金伝説」より、聖パトリキウス(パトリック)の章を。
「黄金伝説」からは、これまでに聖アグネスと聖クレメンスの章をご紹介しています。
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