「赤い羊は肉を喰う」

「いいことでもあったのか?」
「まあね」
電話口から、理香子の可愛らしい笑い声が漏れてくる。
「─ねえ、赤い羊って見たことある?」
突然、理香子はそう訊いた。
「赤い羊?」
どういうわけか、偲は背筋がぞくっとした。いるわけがない動物の存在を、さらりと口にした理香子。彼女の中では、その存在に違和感がない証拠だ。
「そうよ。あたし、今日見ちゃった」

五條瑛の小説を。ジャンルとしては、サスペンスでしょうか。冒頭、主人公の女友達が謎めいた言葉を残して失踪する直前の場面です。

ひつじ話

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