ネパール移牧社会の民族誌
出産直後の仔羊は森林の中で迷いやすいため、母羊の放牧中も群れから隔離する。
羊飼いは群れを放牧に出す時間になると、総出で仔羊を母羊のもとからとりあげる。
彼らは宿営地のまわりで仔羊を1カ所にまとめ、その上からグムラーリという毛布を1枚かけて身動きができないようにする。
(略)
放牧から帰った羊飼いが最初にするのが隔離した仔羊を母羊のもとへ連れてゆくことである。
この時に頼りになるのが羊の名称である。
たとえば、彼らはカーギー・ジブリー・ハーシー(耳の長い・首筋に黒い模様のある・白い羊)の仔はスッドゥー・ハーシー・パティ(全身白い・メスの仔羊)という具合に、出産した仔羊と母羊の名を一緒に覚えている。
ネパールの牧畜社会を精細にたどった民族誌から、仔羊の育成に関する章を。
基本の色柄、そのバリエーション、ツノや耳の状態などを組み合わせた名前をつけることで個体識別をしており、新人牧夫の最初の仕事は羊たちの名前を覚えることなのだとか。たいへんそうです。すごく。
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