ビアス 「ぼくの快心の殺人」

伯父のウィリアムはその界隈全域で喧嘩早いので有名な雄羊を一匹所有していました。
その雄羊は慢性的に、気質的に、憤怒の状態にあったのです。
生れたての頃なにか深い失望を経験し、そのため気質が大変難しくなり、全世界に向かって宣戦を布告していたのです。
近づけるものにならなににでも頭からぶつかっていくと言うのは、その羊の軍事活動の性質と範囲をほんの控え目に表現しただけにすぎません。
それは空中に跳びあがって天使か悪魔のように戦うのです。
鳥のように空気を切り、抛物線を描いて、自分の速度と体重を最も有効に生かす落下角度からそのいけにえにぶつかるのです。

アンブローズ・ビアスの短篇集から、「ぼくの快心の殺人」を。
引用部分は、伯父を殺した主人公の悪党が、自分の使った快心の凶器について説明する場面です。つまり、哀れなウィリアム伯父を木に吊るしておいて、そこに頭突き羊をおびきよせてこう……。

ひつじ話

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