東方の驚異としての「司祭ヨハネの手紙」

それから別のところにある私どもの地方では、ただ胡椒のみ茂り、それは刈り取られると、小麦・糧食・毛皮・生地と交換されます。
さらにこの地方は、柳に類似した樹木が森を成し、いたるところに蛇がいます。
これらの蛇は大きく、二つの頭をもち、牡羊のような角、そしてランプのように光る眼をもっています。
胡椒が成熟するや、近隣地方のすべての民衆が、籾殻、藁、よく乾いた木を両手に携えてやって来て、それらを用いて、森全体をあらゆる方向からとり囲むのです。
そして風邪が激しく吹くときに、蛇が森の外に出てゆくことができないよう、森の内外に火を付けると、自分の洞窟に逃げ帰った蛇をのぞいて、蛇はことごとく、強く熱せられた火の中で死滅するのです。

「皇帝の閑暇」をご紹介している『西洋中世奇譚集成』シリーズからもう一冊、「東方の驚異」を。プレスター・ジョンの伝説として知られる「司祭ヨハネの手紙」が収録されているのですが、その中に昨日お話した「胡椒を守る蛇」が出てきます。

ひつじ話

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