ブルフィンチ『ギリシア神話と英雄伝説』より、「エロースとプシューケー」

翌朝、アプロディーテーがプシューケーを呼び出して、こう言った。
「あの川辺に広がる小さな森をご覧なさい。
あそこでは羊たちが羊飼いもいないのに草を食んでいるわ。
その体には山吹色に輝く毛がついているのがわかるでしょう。
お前はそこに行って一頭ずつ、毛を刈り取り、その高価な羊毛のサンプルを私に持ってきなさい」
プシューケーは素直に川岸に赴き、最善を尽くしてこの命令を実行しようと心掛けるのだった。
しかし、川の神が周辺に群生している葦に霊気を吹き込んで、リズミカルに囁くような声を発しており、その声はこんな風に言っているようであった。
「まあ、厳しい目にあっているお嬢さま、ここの危険な川を渡ったり、向う岸にいる恐ろしい牡羊の群れに入ってはいけません。
あの羊たちは昇る朝日の光を体に浴びていると、残忍なほど怒り狂って、その鋭い角や荒い歯で人間を殺します。
けれど、真昼の太陽が輝く頃は、木陰に追われて、おだやかな川の精が羊たちに休息を与えてくれます。

ブルフィンチのギリシア神話から。
美神アプロディーテーに憎まれた美女プシューケーは、女神からいくつかの試練を与えられます。引用はそのひとつ、凶暴な羊から毛を手に入れるというもので……?
ブルフィンチからの引用は二度ほどしておりますので、こちらでご参考にぜひ。

ひつじ話

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