ドラクロワ 「ヤコブと天使の闘い」
右手にはヤコブが兄エサウのもとに贈り物として運ぶための家畜の群れと、それを追う人の姿が見えるが、その隊列は次第に遠ざかっていこうとしている。
その傍らで、神によって選ばれた人ヤコブの、人智を超えた存在との闘いはいつ果てることもなく続いていく。
19世紀フランス、ウジェーヌ・ドラクロワの晩年の傑作、「ヤコブと天使の闘い」です。
テーマは創世記から取られています。該当部分を下に。
ヤコブはセイルの地、エドムの野に住む兄エサウのもとに、さきだって使者をつかわした。
すなわちそれに命じて言った、「あなたがたはわたしの主人エサウにこう言いなさい、『あなたのしもべヤコブはこう言いました。わたしはラバンのもとに寄留して今までとどまりました。わたしは牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでわが主に申し上げて、あなたの前に恵みを得ようと人をつかわしたのです』」。
(略)
彼はその夜起きて、ふたりの妻とふたりのつかえめと十一人の子どもとを連れてヤボクの渡しをわたった。
すなわち彼らを導いて川を渡らせ、また彼の持ち物を渡らせた。
ヤコブはひとりあとに残ったが、ひとりの人が、夜明けまで彼と組打ちした。
ところでその人はヤコブに勝てないのを見て、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、その人と組打ちするあいだにはずれた。
その人は言った、「夜が明けるからわたしを去らせてください」。ヤコブは答えた、「わたしを祝福してくださらないなら、あなたを去らせません」。旧約聖書創世記第三十二章
なお、ヤコブの関わるお話はときどきしておりますので、こちらで。
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