スペイン民話 「狼にとって食べ物のあたるよい日」
「おい、子羊たちよ、わしは腹がへって死にそうなんだ。これからお前たちを食ってやる。」
羊たちは狼に答えた。
「ねえ、狼さん、私たちはあなたに食べられることを決して悲しんではいません。あなたが食べたいとおっしゃるなら、どうぞお食べ下さい。でも、あなたが私たちをお食べになる前に、この土地を分配してほしいのです。この土地をどのようにして二頭のあいだで分けたらいいのかわからないのです。」
「よし、わしが土地を分けるのを手伝ってやろう。その代わりその後で、わしに食われるのだぞ」と狼は言った。二頭の羊は、「結構です、あなた。どうぞそこの中央の地点に立っていて下さい。私たちは両端に行きますから。」と言った。
狼は中央に立ち、羊たちは両端に行くと、そこから角を振って一斉に走り出し、狼に激突したので、狼は目を回して仰向けに倒れてしまった。
スペイン民話集から、「狼にとって食べ物のあたるよい日」を。ごちそうを食べようとしてはごちそう側からの反撃にあう、狼の失敗譚です。
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