新羅羊脂
天平勝宝八(756)年六月二一日、聖武の四十九日(七七忌)にあたって、妻の光明皇太后は東大寺盧舎那大仏に聖武遺愛の品々を献納しました。「東大寺献物帳」のひとつ、いわゆる「国家珍宝帳」に記載されたおよそ六百数十点の宝物です。
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また、これらの宝物が奉納されたのと同じ日に六〇種の薬物も奉献されたました。その目録が一般に「種々薬帳」と呼ばれるものです。
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帳内薬物のうち動物性生薬は次の一〇種です。
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新羅羊脂(シラギヨウシ)
残存していません。薬物名から新羅産の羊の脂と思われますが、中国の本草書には記載されていません。唐の医学書『千金方』によると、産前産後の滋養剤として繁用されました。
「羊木臈纈屏風」や「樹下鳳凰双羊文綾」をご紹介したことのある正倉院宝物ですが、こちらは同じく宝物ながら、羊の脂です。といっても、今となってはその正体さえさだかでないようですが。・・・途中で使っちゃったのかもしれません。薬ですし。
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