羊 バラニ 毛色は黒、白また斑もある。ちぢれた毛をかりとり、ほどくと綿のようになる。これでラシャ類の毛織を織る。また皮を丸むきにして売買する。一枚の値は甚だ高い。
綿羊 ヤマニ 毛が長くて藁蓑を着たようである。この毛をとり、太い糸に取り、粗布に織る。またなめし皮にし、種々のことに用いる。上品である。しかし毛皮は羊を最上とする。たとえばヤマニ(綿羊)の皮が二百匁であれば、バラニ(羊)の皮は五百匁である。
以前ご紹介した『北槎聞略』の大黒屋光太夫と同時代人であり、同じく漂流のためにロシアの保護を受け、しかも世界一周の末に帰国を果たした津太夫の記録である、『環海異聞』の「物産」に関する章から。
「バラニ」は『北槎聞略』の記述と同じものだと思うんですが、「ヤマニ」がわかりません。ヤギ……とか?