「環海異聞」

ひつじ話

羊 バラニ  毛色は黒、白また斑もある。ちぢれた毛をかりとり、ほどくと綿のようになる。これでラシャ類の毛織を織る。また皮を丸むきにして売買する。一枚の値は甚だ高い。
綿羊 ヤマニ  毛が長くて藁蓑を着たようである。この毛をとり、太い糸に取り、粗布に織る。またなめし皮にし、種々のことに用いる。上品である。しかし毛皮は羊を最上とする。たとえばヤマニ(綿羊)の皮が二百匁であれば、バラニ(羊)の皮は五百匁である。

以前ご紹介した『北槎聞略』の大黒屋光太夫と同時代人であり、同じく漂流のためにロシアの保護を受け、しかも世界一周の末に帰国を果たした津太夫の記録である、『環海異聞』の「物産」に関する章から。
「バラニ」は『北槎聞略』の記述と同じものだと思うんですが、「ヤマニ」がわかりません。ヤギ……とか?

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なぜナイチンゲールは夜啼くか

ひつじ話

ウェストファーレン地方の伝説では、すべての小鳥が口をつぐむ夕暮れ時に、なぜ小夜啼鳥だけが囀り始めるのかが説明されている。
(略)
昔、羊飼いの娘が、素直で優しい羊飼いの若者と婚約を交わしていた。
しかし娘は、わがままで若者を冷たくあしらい、羊番の仕事も怠りがちで、そのくせ若者には夜遅くまで羊を草原に追いたてさせていた。
結婚の手筈も整えるわけでもなく、若者の話にも耳をかさず、娘は結婚の日どりを延ばすばかりであった。
若者の忍耐にも限度があった。度重なる延期の言葉に、たまりかねた若者は怒り狂ってこう叫んだ。
「最後の審判の日まで眠られぬよう、お前を呪ってやるぞ!」
するとたちまち娘は小夜啼鳥の姿となって夜も眠らず、嘆きつつ仕事の歌を響かせねばならなくなった。

「ドイツの民間習俗と太い根でつながっている植物や動物のいくつかを民俗学の立場から掘りおこし、ドイツ文学の理解に役立てよう」(「まえがき」より引用)との趣旨を持つこちらの『ヨーロッパの森から』より、「ナイチンゲール」の章を。
ドイツの羊伝説は、この他にグリムの「ドイツ伝説集」をご紹介しています。

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「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」6月号

ひつじ話

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本屋さんの語学テキストコーナーに行ったら、羊の絵の表紙と目があってしまいました。
NHKラジオの英語講座「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」の6月号です。6月16日(月)放送分のショートストーリー「In a Taxi」の中に出てくる模様。渋滞中のタクシーの中で、運転手とお客が動物を使った心理テストを始めたのですが……?

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彦根の和風礼拝堂 「スミス記念堂」

ひつじ話

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昭和6年、日本聖公会彦根聖愛教会の牧師で彦根高商の英語教師でもあったパーシー・アルメリン・スミス氏が両親を記念し、大工宮川庄助氏と協力して城町の堀端に建設しました。
外観は寺社建築を模しながら、梁や扉には葡萄や十字といったキリスト教の文様が刻まれた独特の和風教会堂として貴重な建築です。
1996年の道路拡幅工事で解体後、市民や滋賀大関係者たちでつくるスミス会議が建物を譲り受け、この度、平成19年3月25日に竣工式が行われました。

神社仏閣の装飾彫刻には、多くの動物や幻想動物がひそんでいます。
これまでにも、大阪天満宮の方位盤松島は五大堂の蟇股などをご紹介しているのですが、羊がもっと大きく取り扱われることはないかと思っていたら、それかと思われるものがありました。
彦根の和風教会堂「スミス記念堂」のなかにある祭壇彫刻です。羊ですね、これ。教会ですし。

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エティエンヌ ・ ドゥローヌ 「6月」

ひつじ話

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400点以上の作品を制作したドゥローヌは、金銀細工、メダルのためのデッサンや小品を別として、膨大な数の一連の月暦図、旧約・新約聖書、歴史や神話を題材にした作品を残している。
様々な画題をとりあげているが、この版画に見られるようにその月々に対応する労働を示す田園風の場面を挿入して新しい図像に仕上げている。

「パリ国立図書館所蔵 フランスの版画 16世紀─19世紀」展カタログ

16世紀フランスの版画家、エティエンヌ・ドゥローヌの月暦図より、「6月(かに座)」です。毛刈りの季節のようですね。
羊の毛刈りを描いた暦といえば、「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」の7月をご紹介したことがあります。

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ジョン=ルイス・ションボーン 「羊飼い」

ひつじ話

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ジョン=ルイス・ションボーン(1852─1931)
ハンガリーに生まれ、幼少の頃両親とアメリカに渡る。
20歳の時に絵画の修行のためにフランスに留学。多くのアトリエで学び、レオン・ボナの知己を得た。
田園風景や動物画に力量を発揮する。
健康に恵まれず、まず難聴、ついで毎年数ヶ月のアルジェリアでの制作が祟って視覚障害にみまわれる。
しかしこのアルジェリア滞在からは、晴れやかな風景画、アラブ馬の大きな習作が生まれた。

 「オリエンタリズムの絵画と写真」展カタログ 

ジョン=ルイス・ションボーンの「羊飼い」を。

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愛知県美術館 シャガール展

ひつじ話

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「《聖書》のための原画:過越の祭で食事するユダヤの人々」
1931年 油彩・グワッシュ、紙
マルク・シャガール国立美術館(1972年寄贈)

 「シャガール」展カタログ 

愛知県美術館にて、2014年6月8日まで、マルク・シャガールの展覧会が開かれています。
上の引用は、以前「イサクの犠牲」などをご紹介した版画「聖書」シリーズの原画のひとつ。大皿の上に子羊がのってます。
その他、「ダフニスとクロエ」のリトグラフのシリーズや、バレエ「ダフニスとクロエ」の衣装と舞台背景画、マルク・シャガール国立美術館の油彩「聖書メッセージ」連作などなど、ひつじ度高めの作品群が並んでいます。お近くならば、ぜひぜひ。

会期 2014年4月17日(木)?6月8日(日)
会場 愛知県美術館 (愛知芸術文化センター10階)
開館時間 10:00?18:00 金曜日は20時まで (入館は閉館30分前まで)

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ゴヤ 「静物画 肉屋の店先」

ひつじ話

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先日の「ウェリントン公爵の肖像」に続いて、フランシスコ・デ・ゴヤをもうひとつ。羊の頭部と胸肉を起き並べた静物画です。
ゴヤは、この他に「洗濯娘たち」をご紹介しています。

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「旅人たちの食卓」

ひつじ話

ブドウの房に灼熱の日ざしがふり注ぐのを何も妨げないように葉をむしり、ブドウが完全に熟したら、切り取って大桶に仕込む。
その中に羊か犬を入れられるだけの空間を残しておき、喉をかき切って殺した、まだぬくもりのある羊か犬を毛皮のまま丸ごと放り込む。
挽き砕いた数リーヴルのコショウ、ショウガ、月桂樹の葉といっしょに生石灰をこの上から投げ込み、残った隙間と縁から一ピエのところまでブドウを入れ桶を完全にいっぱいにする。
それから適量の水を注ぎ、混ぜ合わせたものを発酵させて泡立つままにしておくと、四、五日で中に入れた動物は完璧に消え失せ、どんな小さな骨も見つからないほどになる。
そうなったら大桶の下のほうにある栓を開け、何人かが中に入って力いっぱい足でブドウを押しつぶす。

近世ヨーロッパの旅行者たちが残した著作を検討する「旅人たちの食卓」より、18世紀初頭にヨーロッパを遍歴したフランス人司祭ラバ神父が遭遇したという、スペインの「ワインの醸造方法」です。たぶん、信じなくていいと思います……たぶん。

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ゴヤ 「ウェリントン公爵の肖像」

ひつじ話

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18?19世紀スペイン、フランシスコ・デ・ゴヤによる、初代ウェリントン公爵の肖像です。
胸元に金羊毛騎士団勲章が。スペイン独立戦争に功のあった公爵に対して、フェルナンド7世が授与したものと思われます。
金羊毛騎士団関連のお話はいろいろしております。このあたりでぜひ。

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名古屋ボストン美術館 ミレー展

ひつじ話

名古屋ボストン美術館にて、ミレー展が開幕いたしました!

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開館15周年記念 ボストン美術館 ミレー展 バルビゾン村とフォンテーヌブローの森から
日本でもっとも親しまれている画家のひとり、ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875年)は、2014年に生誕200年を迎えます。
ボストン美術館はミレーの母国フランスをのぞいて随一のミレー・コレクションを誇ります。
本展では、ミレーの作品を軸に、彼の活躍の場となったバルビゾン村、フォンテーヌブローの森に集い、19世紀フランス絵画史に大きな足跡を残した20作家による64作品をご紹介します。
コロー、ルソー、モネらの作品とともに、ミレーの新たな魅力を発見してください。
2014年4月19日(土)?8月31日(日)
開館時間   火?金曜日 10:00?19:00
         土・日・祝休日 10:00?17:00
最終入館   閉館の30分前まで
休館日   月曜日(祝祭日、振替休日の場合は、その翌日)

ミレーの「杖にもたれる羊飼いの娘」ほか、トロワイヨン「羊と羊飼いのいる風景」シャルル=エミール・ジャック「羊に水を飲ませる羊飼いの娘」が展示されています。お近くならば、ぜひぜひ。

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ジュール=ルイ・ラーム 「スコットランドの風景」

ひつじ話

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ラームはノルマンディー地方の出身で、生来病弱だったために、絵画に親しむようになった。
最初期の作品にはミレーの影響が顕著だが、後に印象派から影響を受け、自己の作風を形成していく。
1909年にはイギリスに旅行し、この魅力的なスコットランド風景を含む数多くの油彩作品を制作した。

「フランス近代絵画の流れ」展カタログ

19世紀末から20世紀初のフランス、ジュール=ルイ・ラームの「スコットランドの風景」です。カーン美術館蔵。

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ウォーホル 「カクテル・アワーの星占い」

ひつじ話

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ポートフォリオ『カクテル・アワーの星占い』より
希望の牡羊座

「アンディ・ウォーホル展 from Collection of Mugrabi」カタログ

20世紀アメリカ、アンディ・ウォーホルの1959年頃の作品です。ポップアートの旗手として知られるようになる直前の時代ですね。

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20世紀のアートタイル

ひつじ話

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うるさいまでに室内を飾るヴィクトリア朝の趣味はすでに過去のものとなり、まるで病院のように飾り気のない部屋が好まれるようになったため、工業生産されるタイルは無地物が大半だった。
(略)
しかし、アート・タイルの伝統も細々ながら生き延びていた。
1920、30年代の英国ではバーナード・リーチが、英国中世の伝統と日本の双方から想を得てタイルの制作を続けた。

以前、ヴィクトリア朝のものをご紹介した英国のタイルですが、こちらは同じくミントン社による1930年頃のアートタイル。アール・デコの時代ですね。どのように使われたのでしょうか。

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ジョット 「キリスト降誕」

ひつじ話

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14世紀イタリア、「羊飼いのもとに赴くヨアキム」「ヨアキムの夢」をご紹介している、ジョット・ディ・ボンドーネスクロヴェーニ礼拝堂壁画より、「キリスト降誕」です。
ジョットについては、この他にヴァザーリの評伝などをご紹介しています。

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