古代エジプトの木棺

ひつじ話

木棺 木棺(部分)
テーベ出土の木棺  2世紀  大英博物館

古代エジプトの棺です。大きく描かれた天の女神ヌトの周囲に、黄道十二星座が。
黄道十二宮を描いたものは、これまでにずいぶんご紹介しておりますので、まとめてこちらで。

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カレル・チャペック 「オランダ絵図」

ひつじ話

「オランダ絵図」
オランダ、すなわち水。オランダ、すなわち花壇。オランダ、すなわち牧草地。
(略)
運河と運河間の緑の干拓地とその上の、白い羊たち、緑の牧草の天国にある巻毛の正しき魂たち。

カレル・チャペックの旅行記『オランダ絵図』から、「田園地帯 真のオランダ」の章を。

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リーベラーリス 『メタモルフォーシス』より、「ヘーロポス」

ひつじ話

エウグノートスの子エウメーロスはボイオーティアー地方のテーバイに住んでいた。
彼にはボトレースという名の息子がいた。
このエウメーロスはアポローン神を大いに崇拝していた。
ある時、彼がアポローンに犠牲を捧げていると、息子ボトレースがそばにやってきて、羊を祭壇に捧げる前に、その脳みそを食べてしまった。
このことを知ってエウメーロスは憤り、祭壇から松明を取り、息子の頭をこれで打ちたたいた。
子供は血を流して倒れ、身体は死に瀕して痙攣していた。
母親はこれを見て、父親エウメーロスや召し使い共々、大きな悲しみに打たれた。
アポローンは憐れんで、というのもエウメーロスがアポローンを崇拝していたからであったが、子供をハチクイドリに変えた。
この鳥は今もなお、地中に卵を産み、常にせわしなく飛びまわっているのである。

2?3世紀のローマにいたと思われるアントーニーヌス・リーベラーリスの変身物語集から、「ヘーロポス(ハチクイドリ)」の章を。
同じ変身物語集ながら、オウィディウスのほうはこれまでに何度かお話をしておりますので、まとめてこちらで。

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『クルイロフ寓話集』より、「狼と子羊」

ひつじ話

「それじゃ、名付け親か親戚の者、つまり、おまえの身内の誰かだ。
おまえたちも、番犬も、羊飼いも、みんなおれの不幸を望んでいる。
だから、折あらばおれに危害を加えようとしているのだ。
しかし、やつらの罪はおまえで埋め合わせてやる。」
「わたしが、どんな悪いことをしたのでしょうか?」
「だまれ! おれは聞きあきた。
おれにおまえの罪を調べているひまがあるか、青二才!
おれが食いたいという理由でおまえは罪があるんだ。」
そう言うと、暗い森の中へ子羊を引きずって行った。

19世紀ロシアのイヴァン・アンドレーヴィチ・クルィロフの寓話集から。
以前お話したことのある、イソップラ・フォンテーヌの同名の寓話が下敷きになっているようです。「強者の理屈はつねに通る」という教訓のためのお話なのですが、クルイロフ版は、またとくに怖いですね……。

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ルネ・ダンジューの武術試合

ひつじ話

ルネ・ダンジュー(1409─80年)は、学者、詩人、芸術家、建築家で、愛の作法の実践者であり、かつ武芸に秀でた勇者で、輝かしく影響力のある宮廷を主宰していた。
そしてかつて馬上武術試合の儀式について著されたもっとも細心な論文、『騎馬試合の形式と手順について』の著者であったばかりでなく、またいくつもの風変わりな武術演技の主人役を務めた。
(略)
さらにもっと驚くべきものが、1449年にタラスコンで催された「女羊飼いの武術試合」である。
ルネの宮廷における、ひなびたさまを理想化し称揚する文学趣味を反映して、このときはギャラリーが草葺きの四阿であった。
試合場の一端には、「かわいらしい羊飼いの少女」がおり、「小さい唐鍬」を持って木の下で「羊」の番をしていた。
そして木の上には、二人の挑戦者の持つ黒と白の楯が架けられていたが、これは陰鬱と歓喜を表している。
もちろん挑戦者は、「二人の牧人ふうの高貴なる騎士」にかしずかれた羊飼いよろしく盛装して到着した。

ヨーロッパの王侯貴族が作り上げた祝祭空間について語る「ルネサンスの祝祭」から、ルネ・ダンジューのユニークな武術試合を。

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古代ギリシアのヘルメス像

ひつじ話

ヘルメス
ヘルメスは古代ギリシア神話では牧人の神でもあった。左腕で雄羊をかかえている。

ボストン美術館蔵のヘルメスをかたどった彫像です。
ヘルメス関連では、これまでに、「ヘルメース讃歌」「善き羊飼い」モチーフの解説「転身物語」のアルグス殺害のエピソードなどをご紹介しています。

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ブーテル 「遠方を見渡すインディアン」

ひつじ話

「遠方を見渡すインディアン」
「遠方を見渡すインディアン」(部分)
ブーテルの描く誇り高いインディアンは、わずかに残る手つかずの自然の中に立ち、進行する白人による開拓を示す教会、柵で囲われた羊や牛のいる農場、航行する帆船のある風景を眺めている。

 「ドラマチック大陸 ─風景画でたどるアメリカ」展カタログ 

名古屋ボストン美術館で開催中の「ドラマチック大陸」展で展示されている、19世紀アメリカのデ・ウィット・クリントン・ブーテルによる「遠方を見渡すインディアン」が、見応えがあって素敵なので、ご紹介です。
左下に小さく羊の群れが描かれているのですが、こうした視点で見られる羊というものもあるのですね。それらを見下ろす孤高の男は、ブラックホーク酋長をイメージしたものとのこと。
展覧会の概要は、下に。

会期   2013年1月12日(土)?5月6日(月・祝)
開館時間   火?金曜日 10:00?19:00
         土・日・祝休日 10:00?17:00
         最終入館 閉館の30分前まで
休館日   月曜日(祝祭日、振替休日の場合は、その翌日)

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「ギリシア・ローマ抒情詩選」

ひつじ話

夕星(ゆうずつ)は、
かがやく朝が(八方に)散らしたものを
みな(もとへ)連れかへす。
羊をかへし、
山羊をかへし、
幼な子をまた 母の手に
連れかへす。

呉茂一訳の『ギリシア・ローマ抒情詩選』の「さっぽお」の章から。

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オー・ヘンリー 「千ドル」

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「ブライソン老人。君も説教さえしようとしなければ」とジリアンはほとんど眉ひとつ動かさないで言った、
「みんなから好かれるかもしれないがね。ぼくは君に教えてくれと頼んだんだよ。千ドルでぼくになにができるかと」
「君が?」とブライソンは穏やかに微笑して言った。
「それなら、ボビー・ジリアン、論理的に考えて君にできることはひとつしかないね。これからすぐその金でミス・ロッタ・ローリアにダイヤモンドのペンダントを買ってやって、君自身はアイダホ州に行って、牧場の厄介者になることだよ。それも羊の牧場がいいだろうな。ぼくは羊がとくに嫌いだからね」
(略)
ジリアンは千ドルの使途について報告書をつぎのように書いた。
厄介者(ブラックシープ)のロバート・ジリアンは、天に代って永遠の幸福のため、この世でもっとも善良でもっとも親愛な女性に千ドルを支払った。

オー・ヘンリーの短編、「千ドル」です。
遊び人のジリアン青年は、富豪の叔父の遺言で、弁護士へ使途を報告することを条件に、千ドルという多くも少なくもない微妙な金を受け取ります。そこには叔父の深謀遠慮がひそんでいたのですが、青年はそれに気づかないまま、結果的に不遇な女性を助けることになるのでした。
引用は、物語の冒頭で青年が友人に相談をする場面と、彼が出した結論。対応してますよね、これ。

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アイスキュロス 「アガメムノーン」

ひつじ話

男をたおす剣を研ぎながら、祈りの言葉で刃を研いでいる、
わたしをここに連れてきた、その償いを死と血で払わせる、と。
それなのに、わたしを嘲りわらう、これや、これを、なぜこの身に
つけている 予言者の杖も、羊の毛の首飾りも?
おまえなど、わたしの寿命のつきるまえに、ほろぼしてやろう。
みな砕け散ってしまえ。地面に落ちたらもういちど、こうして、仕返しをして
くれよう。
わたしのかわりに、べつの女に破滅の花を咲かせておやり。
ご覧なさい、アポローンご自身の手が、わたしの身から
巫女の衣装をはぎとって、そして、このような飾りをつけていても、
さんざん嘲い者になっていた、わたしをご覧になられて

アイスキュロスのギリシア悲劇、「アガメムノーン」から。
トロイア戦争から凱旋した王アガメムノーンは、その妻による暗殺という運命に迎えられます。
引用は、王とともに殺される自らの運命をも見てしまった、アポローンの予言者にしてアガメムノーンの戦利品、トロイア王女カッサンドラーの嘆きの場面。アポローンの巫女の印として、羊の毛の首飾りをつけているようです。
アポローンの印が羊の毛というのは、「イリアス」冒頭にもでてきます。どんな形のものなのでしょうね?

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ウィリアム・ホガース 「残酷の四段階」

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「残酷の四段階」

18世紀イギリス、ウィリアム・ホガースによる連作『残酷の四段階』の「第二段階」を。馬や牛、ロバ、羊などが虐待を受けている様子が、これでもかと描かれています。
ホガースの作品は、「誤った遠近法」をご紹介しています。

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『イディッシュの民話』より、「羊とバスケットと杖」

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彼らは彼に羊を一頭与えると、言った。
「この雄羊に『わたしに仕えろ』と命令すれば、おまえのほしいものは何でも手に入る。」
男は羊を家に持ち帰ると、子供たちに言った。
「さあ、みんな食卓につくのだ。」
子供たちが坐ると、男は羊に命令した。
「われわれに食事を用意せよ。」
すると、彼らの食べたいものが食卓に並び、みな腹いっぱいに食べた。

ビアトリス・S・ヴァインライヒ編による、『イディッシュの民話』から「羊とバスケットと杖」を。
子沢山の貧しい男は、森の男たちから魔法の品々(というか羊)を与えられますが、悪い兄弟にうばわれてしまいます。どうやって取り返したかというと……?

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アルチャーティ 「エンブレム集」

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「正しい復讐」
キュクロプスはアーチ状の洞窟の入口に座り、
従順な羊たちの間で自分に対して歌った。
おまえたちは草を食べ、俺はギリシア人の仲間たちを喰らう。
そして最後に、俺の腹は「誰でもない」を運ぶだろう。
イタカの者はこれを聞いて、キュクロプスの光を奪った。
見よ、この張本人が自ら罰を受けるのを。

一般的に言えば、エンブレムとはモットー・図像(狭義のエンブレム)・エピグラムという三つ組から構成され、主として道徳的な訓戒を総合的に表現する、特異な文学─美術的ジャンルである。
そして、アルチャーティの『エンブレム集』が、このジャンルの範例として長く尊重されてきた。

16世紀イタリア、アンドレア・アルチャーティによるエンブレム・ブックから、「正しい復讐」を。
「エンブレム集」には1531年アウクスブルク版と1534年パリ版があり、二種の図像はそれぞれの版のものとのこと。
エピグラムにあるイタカの者云々というのは、オデュッセウスキュクロプスとの闘争のことでしょうか。

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ピサロ 「羊飼いと羊の群れ」

ひつじ話

「「羊飼いと羊の群れ」
これらは主題的にはミレーの有名な《羊飼いの少女》その他を連想させるが、ピサロに言わせればミレーはあまりにもセンチメンタルであり、ロマンティックであり過ぎた。
ピサロはこの種の主題を描くに際し、ミレーと比較され、その影響を云々されるのを嫌い、あらかじめこれを回避するかのように、ミレーとは明らかに異なる、“甘さ”をおさえたアプローチを試みている。

「印象派の巨匠とピサロ家の画家たち ピサロ展」カタログ

19世紀フランス、カミーユ・ピサロの「羊飼いと羊の群れ」です。
引用文内で挙げられているミレーの「羊飼いの少女」というのは、こちらのことかと。

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「十六羅漢図」より、羅怙羅尊者に花を捧げるなにか。

ひつじ話

あけましておめでとうございます。今年もひつじnewsをよろしくお願い申し上げます。
年始めの記事は、「十六羅漢図」です。

十六羅漢図
ワシントンのフリアー・ギャラリー所蔵の十六羅漢図で画上に「平安城東山三聖護国寺常住」と墨書する作品がある。
(略)
第十一羅怙羅尊者は右手に数珠を持つだけの素朴な形であるが、口に花を銜え、供花する山羊か羊かと見える動物は、横向きながら、角が三本見える。
『山海経』「西次三経」に土螻なる動物を録している。

土螻というのは、以前お話したことのある多角の羊のようななにかです。
東京国立博物館の所蔵品(滋賀県大津市の聖衆来迎寺旧蔵)にも、よく似たものがあります。類例がありそうですね。

e国宝 内 囉怙羅尊者

羅漢さんと羊の組み合わせは、以前、川越喜多院の五百羅漢をご紹介しています。
あと、ひょっとするとなんですけれども、五年前に宿題にしたまま放置している、歌川国芳「武勇見立十二支 関羽 未」の疑問を解く手がかりになるような気がするんですが、どうでしょう。

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