「この目録で紹介しておりまする本は、21世紀になりましてから、この50年ほどの間に出版された古本に限ったものでございまして、当然のことながら、そちら様にしてみれば、まだ見たことも聞いたこともない『未来の古本』たち、すなわち来るべき21世紀の古書目録なのであります」
(略)
書名 羊典
著者名 スリーピング・シープ・編
(略)
序文を開いてみますと、
「本書は眠れぬ夜の寝台にて、羊を数えながら、羊のすべてを知る愉しい辞典であります。どうぞ枕元にいつでも一冊。なあに眠れぬ夜にだけ読めばいいんです。枕にもなりますし」
などと、のんびりしたことが書いてありますが、頁をめくっていきますと、写真あり、図版・イラストあり、あらゆる時代の書物や映像から羊たちが渉猟され、じつに素晴らしい編集作業の成果であることが分かります。
「未来の古本」という設定で作られた、クラフト・エヴィング商會による架空の書籍の紹介がつまった一冊、の中の一冊。
いや、ほんとに欲しいんですが、これ。ちなみに、書名は「ひつじてん」と読むようです。