「狼と香辛料」

ひつじ話

「狼と香辛料」2巻より
羊飼いと旅の途中で出会ったら、大地の精霊の加護を受けて一週間は事故に遭わないといわれている代わりに、悪魔が化けていることもあり、油断をすると連れている羊の中に魂を封じ込められるとも言われている。
ロレンスとしては、そういうことがあってもなにもおかしくはないと思っている。そう信じるに足る雰囲気が、羊飼いにはあるからだ。

支倉凍砂のファンタジー小説「狼と香辛料」の2巻です。
行商人のロレンスと、少女の姿に身をやつした狼神ホロは、旅の途上で羊飼いの少女ノーラと出会います。引用文は、後にノーラの羊飼いの腕に救われることになる彼らの出会いの場面。挿画は……まぁ、ほら、ホロは狼ですし……。

記事を読む   「狼と香辛料」

アルチンボルド 連作「四大元素」より「火」

ひつじ話

「火のアレゴリー」 「火のアレゴリー」(部分)

昨日に引き続いて、アルチンボルドの「四大元素」です。こちらは、「火のアレゴリー」。首に、ハプスブルクの双頭の鷲とともに、金羊毛騎士団勲章がかかっています。

記事を読む   アルチンボルド  ...

アルチンボルド 連作「四大元素」より「土」

ひつじ話

「土のアレゴリー」

動植物などを組み合わせた肖像画で知られる、ジュゼッペ・アルチンボルドの連作「四大元素」のうち、「土のアレゴリー」です。
日本の寄せ絵と近いものがありますね。歌川国芳の「年が寄ても若い人だ」をご紹介していますので、ご参考にどうぞ。

記事を読む   アルチンボルド  ...

パブの看板 「子羊と旗亭(The Lamb & Flag)」

ひつじ話

「子羊と旗亭」
旗をかつぐ子羊の図形を「神の子羊(パスカル・ラム)」(Paschal Lamb, あるいはLamb of God)といい、イエス・キリストを表している。
旧イザヤ書では、キリストは毛を刈られる時におとなしくしている子羊にたとえられており、個人だけでなく都市の紋章などにもこの図形はよく使われている。

ハートフォードシャーのパブ「子羊と旗亭」の看板。
子羊の紋章は、普通は十字が描かれた旗を持っているようなのですが、こちらは鹿。しかもなんだか楽しそうです。まぁ、パブですし。

記事を読む   パブの看板 「子 ...

アンデルセン童話集より 「父さんのすることはいつもよし」

ひつじ話

「馬をやって、雌牛と取りかえたよ。」
「ミルクとはありがたいね!」とおかみさんは言いました。
(略)
「うん、だけど、その雌牛を、羊と取りかえっこしただ。」
「そりゃ、たしかに、なおさらいいじゃないか。」と、おかみさんは言いました。
「おまえさんは、いつだって考えぶかいんだからね。羊一ぴきぐらい、青草なら、ありあまるほどあるよ。
これからは、羊のミルクと、羊のチーズと、毛糸のくつしたと、おまけに毛糸のジャケツまでとれるね。
これは、雌牛なんかにできないこったよ。雌牛には毛なんかないからね。
おまえさんは、ほんとに考えぶかい人だよ!」
「だけど、その羊をガチョウと取りかえっこしただ。」

アンデルセンの童話集より。
馬を売りに市に出かけたはずの父さんが持って帰ってきたものは、腐ったりんご一袋と、賭け事好きのイギリス人二人。
イギリス人たちは、もちろん、おかみさんが激怒するほうに大金をかけているのですが……?

記事を読む   アンデルセン童話 ...

“珍ペット”のヤギとヒツジ人気 大塚の民家

ひつじ話

クウ(手前)とシロに草をやる三木小学校の子どもたち
 ペットとしては珍しいヤギとヒツジ一匹ずつが、三木市大塚の公務員田中裕行さん(51)宅で飼われている。市街地の中、柵に囲まれた草地でゆったりと過ごす姿が癒やしとなっているようで、登下校の子どもや住民が声を掛けたり草をやったりして、かわいがっている。
 妻の真理さん(51)が趣味の手編みで羊毛を扱ううちにヒツジに興味を持ち、観賞するために六甲山牧場(神戸市灘区)によく通った。「ヒツジが欲しい」と一九九六年、同牧場に打ち明けたところ、替わりに飼いやすいヤギを譲ってもらった。二〇〇一年には、しっかり飼育した実績と環境が評価されたといい、ヒツジも譲り受けた。
 名前はヤギが「クウ」、ヒツジが「シロ」。ともに生後間もなく田中さん宅にやってきた。約一メートルの木製柵で囲った約百七十平方メートルの草地で放し飼いにされている。餌は干し草と水、塩だけで、犬と違って散歩の必要もないという。
 クウは初め気性が荒かったが、かわいがられるうちに人懐っこくなり、今では誰にでも愛(あい)嬌(きょう)たっぷり近づいていく。一方、シロは人を警戒して今もなかなか近寄らない。
 子どもや近所の住民らの人気を集めるほか、古い町家が並ぶ「湯の山街道」の東端にあり、たまたま目にした観光客が驚くこともあるという。友人と立ち寄った三木小二年生(7つ)は「いつも来るの。かわいいでしょ」と話しながら草をあげていた。
 真理さんは「目が優しくて癒やされます。気軽に見に来てください」と話している。

記事を読む   “珍ペット”のヤギ ...

ラ・フォンテーヌ 『寓話』より「ブタとヤギとヒツジ」

ひつじ話

ヤギとヒツジと太ったブタが
同じ車に乗せられて、市へでかけていった。
(略)
御者はブタに言った。「なにをそんなに嘆くんだ。
(略)
このヒツジを見ろ。ひとことでもなにか言ったか。
これはおりこうさんだ。」「これはおばかさんだ」
とブタは言い返す。
「(略) こいつらは、ヤギは乳をしぼられ、ヒツジは毛を刈りとられる
だけのことだと考えている。
そのとおりかどうかは知らない。
だが、おいらは食べられる。」

「オオカミたちとヒツジたち」「羊飼になったオオカミ」をご紹介したことのあるラ・フォンテーヌをもう一話。
教訓は、「不幸が確実なばあいには、先のことを考えない者が賢明な者」です。ラ・フォンテーヌの寓話って、こんなんばっかりなんでしょうか……。

記事を読む   ラ・フォンテーヌ ...

魔術道具の羊毛

ひつじ話

怪しい羊毛
怪しい羊毛
不気味な闇を思わせる黒羊の毛皮は、魔術に盛んに使われた。
標的となる人間が眠っている部屋に羊毛のかたまりを置いて、その人の息を吸収させれば、あとでそれを使ってその人物を魔法でたぶらかすことができると信じられていた。

「魔女と魔術」をテーマにした博物図鑑の、「魔術の儀式と道具」の章から。
ある日突然、自分の部屋に見覚えのない羊毛があったら、かなり気になりそうですが。

記事を読む   魔術道具の羊毛

モンテロッソ 「黒い羊」

ひつじ話

ずーっと昔のことです。
遠い国で、黒い羊が他の羊たちに銃殺されました。
百年がたち、罪を悔やんだものたちが黒い羊を弔うために騎士像を建てました。

ラテンアメリカの作家、アウグスト・モンテロッソの動物寓話集より、「黒い羊」です。
上の三行ですでに全体の三分の一という、超短篇小説。
モンテロッソは、「『恐竜』 目を覚ましたとき、恐竜はまだそこにいた。」という、「世界一短い小説」の作者としても知られているようです。

記事を読む   モンテロッソ 「黒い羊」

ジュール・シュペルヴィエル 「三匹の羊をつれた寡婦」

ひつじ話

この心のひろい寡婦には、羊の息子が三人あった。
彼らは、気概に欠けた、他人のあとばかりくっついている人間という羊もどきではなく、毛や、ほかのすべてをそなえた本物の羊だった。
ただし、この四つ足たちが言葉を話すことができたことは、両親の名誉のためにも言っておかねばなるまい。
彼らにできなかったこと、それはめー、めーと鳴くことだった。

ジュール・シュペルヴィエルの幻想性にあふれた短編集より、「三匹の羊をつれた寡婦」を。
救いも合理的な答えも得られませんが、心に残るお話です。

記事を読む   ジュール・シュペ ...

マッチラベル

ひつじ話

「マッチラベル博物館」より

「マッチラベル博物館」より、明治から大正にかけてのマッチラベル。過越しの子羊三羊などがデザインされています。

記事を読む   マッチラベル

タッシリ・ナジェールの岩絵

ひつじ話

タン・ズマイタクの野羊
タッシリ・ナジェール岩面画に最も頻繁にあらわれる野生動物は羊である。
彩画の羊は平塗りで、線描で、さらには両者を併用して描かれるが、表現の焦点は大きく湾曲する角にある。
タン・ズマイタクの野羊の角は細い折線を入念に集めてあらわされている。

サハラ砂漠にあるタッシリ・ナジェールの、先史時代の岩絵です。サハラは紀元前7000年から前2000年のあいだ湿潤期にあり、岩面に描かれた羊や象やカバやペリカンによって、それらの時代を想像することができます。

記事を読む   タッシリ・ナジェールの岩絵

後漢代の明器

ひつじ話

後漢代明器 作坊
作坊(農作業小屋)  緑釉陶 後漢 幅27.3  天理大学付属天理参考館
ここで働くべき男は疲れたのか、中央で居眠りしている。
その眠りの邪魔をしないように神妙に羊と鳥が周りにたたずんでいる。
後漢代後期には、このように物語的な作がしばしば見られる。
些細であるが細やかな生活の一瞬に愛着を感じた、作り手のまなざしが感じられる。

「陶器が語る来世の理想郷 中国古代の暮らしと夢―建築・人・動物」

古代中国の明器です。明器というのは、お墓に入れる副葬品のこと。主に陶製で、死後の世界での暮らしを想定した、さまざまな生活用品が再現されています。

記事を読む   後漢代の明器

モンゴルのなぞなぞ

ひつじ話

二十匹の羊がずらりと並んでいる。
背中のくぼんだ赤い牝牛がつながれている。
(歯と舌)
羊は黒。囲いは白。
(字とそれの書いてある紙)
千匹の羊の真中に丸く肥った白い牡羊。
(星と月)

オルドス口碑集」より、判じ物を集めた章からいくつかを。

記事を読む   モンゴルのなぞなぞ

PAGE TOP