羊飼いと旅の途中で出会ったら、大地の精霊の加護を受けて一週間は事故に遭わないといわれている代わりに、悪魔が化けていることもあり、油断をすると連れている羊の中に魂を封じ込められるとも言われている。
ロレンスとしては、そういうことがあってもなにもおかしくはないと思っている。そう信じるに足る雰囲気が、羊飼いにはあるからだ。
支倉凍砂のファンタジー小説「狼と香辛料」の2巻です。
行商人のロレンスと、少女の姿に身をやつした狼神ホロは、旅の途上で羊飼いの少女ノーラと出会います。引用文は、後にノーラの羊飼いの腕に救われることになる彼らの出会いの場面。挿画は……まぁ、ほら、ホロは狼ですし……。